血中のニコチン濃度がある一定以下になると不快感を覚え、喫煙を繰り返してしまう疾患。
たばこを吸うと肺からニコチンが取り込まれ、ニコチンは急速に脳内の腹側被蓋野にあるα4β2ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)に結合します。ニコチンが受容体に結合することで、側坐核から大量のドーパミンが放出されます。ドーパミンは快楽に関わる脳内神経伝達物質であり、そのドーパミンの大量放出により強い快感が得られます。
ニコチンはドーパミンだけでなく、ノルエピネフリン(覚醒、食欲抑制)、セロトニン(気分の調整、食欲抑制)、アセチルコリン(覚醒、認知作業の向上)などの神経伝達物質の分泌にも関わっています。喫煙してニコチンを常時摂取するようになると、これらの神経伝達物質の調節をニコチンに委ねてしまい、自分で分泌する能力が低下します。そのため、禁煙したり、たばこを吸えない状態が続くと神経伝達物質の分泌が低下し、さまざまなニコチン離脱症状が出現することになります。
たばこが吸えない状態が続いたときに喫煙することによって、離脱症状という不快な症状が消失するため、再び喫煙を続けてしまう現象(負の強化)が起こります。その強化の結果、喫煙を繰り返してしまうのがニコチン依存症の特徴です。
(最終更新日:2019年6月18日)