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最大酸素摂取量 / VO2max(さいだいさんそせっしゅりょう)

健康体力の重要な構成要素であり、全身持久力の指標。有酸素性能力や有酸素性パワー、心肺体力とも呼ばれている。

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運動中に体内(ミトコンドリア)に取り込まれる酸素の最大量を示し、健康と最も関連する体力です。

運動負荷テストによる測定法には、直接法と間接法があります。直接法は、自転車エルゴメーターやトレッドミルなどを用いて最大努力での運動中に採気された呼気ガスを分析し、1分間に体内に取り込まれる酸素の最大量を算出します。一方、間接法では、例えば、自転車エルゴメーターの運動負荷とその負荷時の心拍数の関係から最大酸素摂取量を推定する方法があります[1]
男性30歳の平均値は、体重あたりで37 mL/kg/分程度ですが、エリート長距離選手の最大酸素摂取量は90mL/kg/分にも達します。死亡率や各種疾患の罹患率とも強く関連するなど[2]-[4]、全身持久力としての体力の評価値としてはもちろんのこと、健康を表す指標としても重要であると考えられます。

類似した用語に「最高酸素摂取量(VO2peak)」があります。最大酸素摂取量の定義を満たすためには、最大努力での運動中に運動負荷を増やしても、それ以上摂取量が増えないことを確認する必要があります。しかし、多くの人においては最大努力で運動し続けることが困難であることから、運動負荷テスト中の最高値を代用することが多く、この値を最高酸素摂取量と呼んでいます。

(最終更新日:2025年2月17日)

澤田 亨

澤田 亨 さわだ すすむ

早稲田大学 スポーツ科学学術院 スポーツ疫学研究室 教授

1983年福岡大学体育学部卒業。1985年順天堂大学大学院体育学研究科修了。博士(医学)。東京ガス株式会社人事部健康づくり担当者、国立健康・栄養研究所室長を経て、2018年に早稲田大学スポーツ科学学術院に教授として着任。体力と健康に関する研究に従事。専門はスポーツ疫学、公衆衛生学。

参考文献

  1. 山地啓司.最大酸素摂取量の科学 改定第2版.杏林書院, 2001
  2. Blair SN, et al. Physical fitness and all-cause mortality. A prospective study of healthy men and women. JAMA. 1989;262(17):2395-401.
  3. 澤田亨, 武藤孝司. 日本人男性における有酸素能力と生命予後に関する縦断的研究. 日本公衆衛生雑誌. 1999;46:113-21.
  4. Sawada SS, et al. Cardiorespiratory fitness and cancer mortality in Japanese men: a prospective study. Med Sci Sports Exerc. 2003;35:1546-50.
  5. 厚生労働省.健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/undou/index.html