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不正咬合の種類と実態

日本人には歯がアゴに対して入りきらない叢生が多いようです。矯正診療を進めるにあたっては最初に詳細な検査を行い、不正咬合が骨格・歯槽・機能のどこに問題を抱えているのかを調査し、その成り立ちを知ります。それにより適応する装置の選択や抜歯の問題などが検討されます。

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不正咬合の種類

不正咬合には、歯がアゴに入りきらないでガチャガチャに生えている叢生(そうせい)、前歯が反対に咬んでいる反対咬合(はんたいこうごう)、前歯の咬み合わせが深い過蓋咬合(かがいこうごう)、上下の前歯がちょうど合わさっている切端咬合(せったんこうごう)、奥歯で咬んでも前歯が当たらない開咬(かいこう)、出っ歯と総称される上顎前突(じょうがくぜんとつ)、などがあります。正常咬合でないものを不正咬合といいます。

過蓋咬合:前歯の咬み合わせが深い状態を言います。例えば下の前歯が上の前歯の裏の歯肉を咬んでいて下の前歯が隠れて見えない場合などを言います。上の前歯に負担がかかるので寿命が短くなる、顎関節に負担がかかり痛みなどを発生しやすいとの指摘があります。
開咬:奥歯で咬んでも何本かの前歯が咬まない状態のことで、前歯で麺類を噛み切れません。正式には複数の前歯のオーバーバイトがマイナスである状態を言います。
上顎前突:出っ歯と言われる不正咬合のことです。上の前歯が出ていることによりぶつけて歯を欠いてしまったり、時には折ってしまう事故が多いと言われています。

日本人の不正咬合の割合

日本人の不正咬合の調査は、厚生労働省(旧厚生省を含む)が歯科疾患実態調査の一部として行っています。歯科疾患実態調査は昭和32年(1957年)から6年ごとに行われていて、不正咬合の調査は今までに昭和44年(1969年)・昭和56年(1981年)・平成11年(1999年)・平成17年(2005年)・平成23年(2011年)の5回行われました。

最新の平成23年には、12歳~20歳の男女の前歯の不正咬合の状態として、叢生・空隙・オーバージェット・オーバーバイトが調査されました。下記の表に示された結果からみると、日本人に多い不正咬合の種類として叢生があげられ、空隙・上顎前突・過蓋咬合も少なくないと言えそうです。

オーバージェット:横から見たときの前歯切縁の水平的距離です。上顎前突はこの値が大きいもの、反対咬合は値がマイナスのものです。
オーバーバイト:上の前歯が下の前歯にどれだけかぶさっているかという垂直的距離を示します。咬み合わせが深い過蓋咬合では値が大きく、前歯がかみ合わない開咬では値はマイナスとなります。上下の前歯がちょうど当たった状態であるオーバージェット・オーバーバイトとも0mmの場合を切端咬合と言います。

不正咬合の成り立ち

矯正歯科を受診して初診相談の結果治療を開始することになると、最初に詳細な検査が行われます。そのなかには側面頭部エックス線規格写真という、普通の歯医者さんにはない特別なエックス線写真検査があります。この検査で個々の不正咬合の成り立ちが詳細に分かります。

不正咬合は骨格・歯槽・機能の3つの要素から成り立っています。骨格とは、上あごと下あごの大きさや位置のことです。歯槽とは、上下の前歯の軸がどの程度傾いているのかなど、歯の問題です。機能とは、歯が咬み合わさっていない安静位と呼ばれる状態からしっかり咬み合わさった状態への経路に異常がないかなどです。

例えば上顎前突と言っても、上あごが大きく下あごが小さい上顎前突(骨格性上顎前突)、上の歯が大きく前に傾いているためにオーバージェットが大きくなっている上顎前突(歯槽性上顎前突)、上の一番目の前歯の傾きは普通なのに二番目の前歯が内側に入っているので咬むと下あごが後に咬みこんでしまう上顎前突(機能性上顎前突)など様々です。これらの組み合わさったものも多く見受けられます。
治療を開始する前に詳細な検査を行い、不正の成り立ちを調べることで、適応する装置の選択や抜歯の問題などが検討されます。

たかはた矯正歯科 島田 達雄

参考文献

  1. 厚生労働省
    平成23年歯科疾患実態調査
    http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/62-23.html
  2. 葛西一貴, 後藤滋巳ほか.
    歯科矯正学第4版.
    2002, 医歯薬出版, 東京, pp.75~82.