精神的な混乱や不合理な言動・自殺未遂などが自分や家族に急に起こったときは、各都道府県の精神科救急情報センターの連絡先をWeb等で検索して相談ください。紹介される当番病院はどんな病院か、どうやって連れて行くか、そこではどんな治療が行われるのかを紹介します。
電車の中で急に心臓が止まりそうな恐怖にかられる・娘が手首をカミソリで切って出血・おじいさんが夜中に突然大暴れ・引きこもりがちだった息子が訳のわからないことを叫び出す -精神科救急とは、例えばこんな状況です。自分がそうなることもあれば、家族や友達がそうなることもあります。こんなときどうすればいいのでしょうか。
まず、どこかに相談しなくてはなりません。どこに相談していいのかわからないときは、各都道府県の精神科救急情報センターの連絡先をWeb等で検索して連絡先を確認ください。次に電話で精神科救急情報センターへ相談し、そこで診察が必要と判定されたら、指定された病院に行くよう指示されます。
指定された病院に自家用車やタクシーで行ける場合は問題ありませんが、混乱がひどい場合や本人が受診を拒否するような場合には、搬送手段が問題となります。どうしていいかわからないときは、精神科救急情報センターに相談すれば、アドバイスしてくれます。ただし情報センターや当番病院から迎えに来てくれることは、まず期待できません。再び119番して救急車を頼むか、大暴れしているようならば110番通報して、パトカーで運んでもらうしかありません。
かかりつけの病院のない限り、どの病院で診察されるのかは、地域や日時によって異なります。通常は都道府県が精神科救急医療体制整備事業の中で指定する当番病院が救急診療にあたります。当番病院には精神保健指定医という国が認定する専門医が待機しています。ただし設備やスタッフの整い方は、病院によって差があります。もっとも高度な設備のある精神科救急入院料病棟をもつ病院、次いで精神科急性期治療病棟をもつ病院、その他の病院という3段階があります。現在のところ最高度の病院を指名することは残念ながらできません。
軽症の場合は応急処置として精神安定剤を飲むか注射するかして帰宅し、後日あらためて受診するよう指示されます。帰宅が困難な重症の場合は入院となります。症状が激しいと隔離室という鍵のかかる部屋が最初の病室になることがあります。精神安定剤での麻酔や点滴が必要の場合は、専用のベルトで身体拘束されることもありますが、落ち着きを取り戻したら、速やかに解除するよう、法律で義務づけられています。
症状の激しい急性期が過ぎれば、普通の個室や4人部屋に移され退院の準備がなされます。治療法は薬物療法が主体です。十分な睡眠と休息がとれれば、平均1ヶ月半、長くても3ヶ月で退院できます。退院後の自宅療養については、様々な専門スタッフがアドバイスしてくれます。
(最終更新日:2019年01月08日)