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メタボリックシンドローム改善のための運動

運動単独でメタボリックシンドロームを改善させるためには、少なくとも週当たり10メッツ・時以上の有酸素性運動を加える必要のあることが、系統的レビューにより報告されています。有酸素性運動であれば、種目・強度の違いによる効果の差は認められておらず、ウォーキング・自転車エルゴメータ・ジョギング等いずれの種目を用いる場合でも、エネルギー消費量をより高めるよう実践することが重要です。

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別名「内臓脂肪症候群」とも呼ばれているように、メタボリックシンドロームを改善させるためには、内臓脂肪を減少させることが重要であるといわれています。運動もその有効な手段のひとつとして広く用いられていますが、最も効果のある種目・強度・1回あたりの時間・どのくらいの運動量が必要なのかといったことが知りたいところです。

近年、減量(体重や脂肪の減少)の効果に対する運動種目・強度・時間の影響について、多くの研究成果が得られています。結論からいいますと、個人にとってより多くのエネルギー消費量を確保できる運動であれば、どのような方法でも良いと考えられます。その点、レジスタンス運動よりも有酸素性運動を中心に行なった方がエネルギー消費量を確保するには良いでしょう。ただし有酸素性運動に該当するものであれば、ウォーキング・自転車エルゴメータ・ジョギング・水泳など、いずれの種目でも効果に大きな差はありません。

高強度よりも低強度での運動の方が運動中の脂肪燃焼率が高いため、低強度での運動を薦めているケースがありますが、高強度運動の場合は運動終了後の脂肪燃焼率が高くなることで総脂肪燃焼量への補填が起こります。つまり減量を目的とした場合には、強度に関わらず、どのくらいエネルギーを消費したかが重要となります。逆に言えば強度の高い運動をしなくてもよいともいえるでしょう。ただし低強度ではエネルギー消費量を増大するために非常に長い運動時間が必要となり、高強度だと長い時間続けることが難しいため、運動時間を確保しにくいといったことがあるので、効率の面から考えると中強度運動を比較的長めに行なう方法が理想的です。とはいえ安全性への配慮が前提ですので、運動の種目・強度を決める際には、個人の体力や環境に合わせて、継続可能なものを選択することが肝要です。

また減量するためには、1回にどのくらいの運動時間が理想的かということも気になります。20分以上運動しないと脂肪が燃焼してこないというようなことを耳にする方がいると思いますが、近年の研究成果から、1日に30分の運動を1回行なっても10分の運動を3回行なっても、両者の減量効果に差のないことが認められています。つまり同じ運動であれば、その効果は総運動時間に対応するといえます。

代謝関連性疾患を有さない対象における運動量と内臓脂肪減少の量反応関係

図: 代謝関連性疾患を有さない対象における運動量と内臓脂肪減少の量反応関係

それでは内臓脂肪減少のためにはどのくらいの運動量が必要でしょうか。厚生労働省から発表された健康づくりのための運動指針2006において、メタボリックシンドローム解消には週10エクササイズ(メッツ・時)の運動を増やしましょうと勧告されています。これは有酸素性運動と内臓脂肪の減少に関する介入試験を対象に、系統的レビューを行なうことで検討されました。
対象となった16件の介入試験(計21群)の報告をみると、約10メッツ・時で実施された複数の群より有意な内臓脂肪の減少が認められていました。つまり少なくとも週当たり10メッツ・時以上の運動が必要であると考えられました。さらに糖尿病脂質異常症を有していた群を除くと、内臓脂肪の減少と有酸素性運動は量-反応関係にあり、週当りの運動量に応じて内臓脂肪が減少していくことも認められました【図】。

以上からメタボリックシンドローム解消のための運動には、有酸素性運動を用いて週10メッツ・時以上の運動量を加えることから目標にするとよいと考えられます。ただし週当たりの運動量が多いほど、より内臓脂肪が減少しますし、週10メッツ・時以下の運動量であってもまったく内臓脂肪が減少しないわけではありません。

参考文献

  1. 厚生労働省 運動所要量・運動指針の策定検討会.
    健康づくりのための運動指針2006.
    2006.
  2. Ohkawara K et al.
    A dose-response relation between aerobic exercise and visceral fat reduction: systematic review of clinical trials.
    Int J Obes, 31, 1786-97, 2007.