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加齢とエネルギー代謝

一般的に加齢に伴って基礎代謝量は低下します。その主な理由として筋肉などの除脂肪量の低下があげられます。このことは活動時のエネルギー代謝量が低くなることにもつながりますので、結果的に総エネルギー消費量(24時間相当)も加齢に伴い低下していきます。

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【表1】は食事摂取基準2005年度版に示されている、日本人の年代別基礎代謝基準値です。性別を問わず加齢とともに基礎代謝量が低くなっていることがわかります。
例えば体重70kgの男性の場合、基礎代謝量の推定値は、20歳代で1680kcal、50歳代で1505kcalとなり、1日でおよそ175kcalの差になります。

表1: 日本人の基礎代謝基準値[1]
性別 男性 女性
年齢 基礎代謝
基準値
(kcal/kg/日)
基準体重
(kg)
基準代謝量
(kcal/日)
基礎代謝
基準値
(kcal/kg/日)
基準体重
(kg)
基準代謝量
(kcal/日)
1-2歳 61.0 11.9 730 59.7 11.0 660
3-5歳 54.8 16.7 920 52.2 16.0 840
6-7歳 44.3 23.0 1020 41.9 21.6 910
8-9歳 40.8 28.0 1140 38.3 27.2 1040
10-11歳 37.4 35.5 1330 34.8 35.7 1240
12-14歳 31.0 50.0 1550 29.6 45.6 1350
15-17歳 27.0 58.3 1570 25.3 50.0 1270
18-29歳 24.0 63.5 1520 23.6 50.0 1180
30-49歳 22.3 68.0 1520 21.7 52.7 1140
50-69歳 21.5 64.0 1380 20.7 53.2 1100
70歳以上 21.5 57.2 1230 20.7 49.7 1030

加齢に伴う基礎代謝量の低下は、除脂肪量の低下が主な原因としてあげられます。【表2】に示しているように、安静時の代謝量は組織ごとで大きく異なります。臓器では代謝量が高く、脂肪組織では低くなっています。また骨格筋の代謝量は、臓器よりも低いですが脂肪組織よりも高いことがわかります。臓器の大きさは加齢に伴ってそれほど変化しないと考えられますので、機能不全でなければ、代謝量の低下に大きな影響を及ぼさないといえます。また脂肪は加齢に伴って蓄積していく傾向にありますが、代謝量が低いので大幅な増加にはつながりません。いずれの組織でも加齢に伴う代謝率(単位当りの代謝量)の低下が考えられますが、ある研究報告ではほとんどその影響はみられませんでした。つまり加齢に伴う基礎代謝量の低下は、骨格筋量の減少が主な理由としてあげられます。また基礎代謝量が体格に大きく依存しているということは、活動時の代謝量も基礎代謝量と同様に考えてよいといえます。

表2: ヒトの臓器・組織における安静時代謝量[2]
臓器・組織 重量 (kg) エネルギー代謝量 比率 (%)
(kcal/kg/日) (kcal/日)
全身 70.0 24 1700 100
骨格筋 28.0 13 370 22
脂肪組織 15.0 4.5 70 4
肝臓 1.8 200 360 21
1.4 240 340 20
心臓 0.3 440 145 9
腎臓 0.3 440 137 8
その他 23.2 12 277 16

一般に同じ活動を行なった場合は、体重の重い人ほどエネルギーを消費します。そのため体重の重い人と軽い人が同じ活動レベルで1日を過ごせば、体重の重い人の総エネルギー消費量(24時間相当)の方が多くなります。そこである対象の1日の身体活動レベルが高いか低いかを評価する場合には、総エネルギー消費量を基礎代謝量で除した値(PAL: physical activity level)が用いられています。すなわちPALの値が高い人ほど、身体活動量が多い人ということになります。
【図】は欧米人の結果ではありますが、一般的な体格者を対象にPALまたは総エネルギー消費量と年齢との関係を示しています。これをみると、総エネルギー消費量は加齢に応じて低下していますが、PALはおよそ50歳頃を境に低下しています。つまり加齢に伴う総エネルギー消費量の低下は、体格の変化(主に骨格筋量の減少)によるものと、身体活動量の低下によるものが考えられますが、前者は30歳代頃から、後者は50歳代頃から現れてくるといえるでしょう。身体活動を活発に行なうことは、エネルギー消費を高く維持させることに加えて筋肉量の減少を遅らせることにもつながりますので、加齢に伴う総エネルギー消費量の低下を防止することにつながります。

図: 総エネルギー消費量およびPALと年齢の関係[3]

総エネルギー消費量およびPALと年齢の関係

参考文献

  1. 厚生労働省策定
    日本人の食事摂取基準 2005年度版
    第一出版, 28-38, 2005.
  2. 糸川嘉則ほか 編
    栄養学総論 改定第3版
    南江堂, 141-164, 2006.
  3. Roberts SB et al.
    Energy requirements and aging.
    Public Health Nutr, 8, 1028-36, 2005.