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フッ素症(ふっそしょう)

長期にわたるフッ化物の反復投与(暴露)による過量摂取から生じる慢性中毒症。歯のフッ素症と骨フッ素症が疫学的に確認されている。

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フッ化物の過量摂取による慢性中毒症としては、歯のフッ素症と骨フッ素症が疫学的に確認されています。

歯のフッ素症は、エナメル質の石灰化期間に過量のフッ化物を継続的に摂取した場合に生ずる特異的な歯の形成障害で、エナメル質に審美上の変化(不透明な縞模様・境界不明瞭の白斑・白濁など)があらわれ、中等度になると歯面全体にわたってチョーク様に白濁します。これに小陥凹が加わることがあり、凹部に外来性の色素が沈着して褐色もしくは黒色を呈します。
その発症の程度および部位は、エナメル質の石灰化時期におけるフッ化物摂取量・フッ化物摂取の持続期間(回数)などに左右されます。つまりエナメル質が完全に形成された後で過量のフッ化物を摂取しても歯のフッ素症は発生しません。
石灰化時期にある出生~8歳までの小児に対して、「0.1mg/kg体重/日」のフッ化物を毎日摂取することがModerate型歯のフッ素症の最小影響レベル(LOAEL)とされています。

骨フッ素症は、インドなどの熱帯地方や中国の乾燥地帯でフッ化物濃度が高い飲料水を利用している地域での報告が多い症状です。
病態は4段階に分けられ、症状が進行すると脊柱靱帯骨化などが原因となった四肢麻痺が進行する運動障害性フッ素症という病態が報告されています。このような病態は、10~20ppmのフッ化物を含む飲料水を少なくとも10年以上毎日摂取している場合に生ずる、と推定されています。また、温暖な地域で飲料水中のフッ化物濃度が4~8ppmの場合、骨フッ素症の徴候や症状はほとんど現れないことが確認されています。