震災直後の不眠にどのように対処するか
被災地の方々の場合1 「夜寝にこだわらない」

避難所におられる方、不便が多くても自宅に戻られた方、仮設住宅に入居された方、知り合いのお宅等に身を寄せておられる方、さまざまだと思います。慣れない環境でストレスを感じながら日々を過ごされていることに変わりはありません。特に避難所では間仕切りもなくプライバシーがありません。電力不足のため早い時間から消灯する、空腹感が強い、雑音(周囲の会話、いびき、寝言)など就寝環境は劣悪です。

このような環境下では通常の不眠対処法(「快眠のためのテクニック」 「快眠と生活習慣」)を実行するのは困難です。したがって、“眠れるときに眠る”という開き直りが必要です。夜中に皆と一緒に眠らなくてはならない、という思い込みはかえって睡眠に対する“身構え”を強くさせ、夜になるにつれて不安が高まり、消灯すると目が冴えてしまうという「不眠恐怖症」の状態に陥ります。
逆に、昼間は安心感があり、眠るつもりでないときにかえってウトウトと眠れることがあります。避難所の管理者の方は日中に仮眠をとれるコーナーを設けてあげることも大事です。昼でも夜でも良いので、“眠れたという体験”を積み重ねてください。“眠れずに焦りばかりがつのる”状態が長いほど不眠症を悪化させます。
夜中に寝つかれないときでも、「今は体が眠りを求めていない」と良い意味で開き直り、自然な眠気がくるまで、呼吸をゆっくりと整え、静かに横になっているだけで結構です。羊を数えるのは止めましょう。不眠症に点数を付けてどれだけ眠れないか確認作業をしているのと同じです。過度の心配をせず、不眠があっても淡々と受け止めていれば、日々の生活をこなすうちに多くの方は眠れるようになってきます。