震災直後の不眠は“正常な”反応

震災後の不眠症状は人によってさまざまです。寝つきが悪くなる、やっと寝付いたかと思うと何度も中断し目覚めてしまう、二度寝ができない、熟眠感がない、などです。不眠の頻度も、毎晩の人もいれば、週に1、2晩程度までまちまちです。

米国の例を見ても分かるように、震災などの大きな精神的なストレスがかかった直後に上記のような不眠症状がでてくるのは決して珍しいことではなく、むしろ身の回りに生じた危機的状況に対処するための正常な生体反応と考えて結構です。短期的には心配する必要はありません。個人差もありますが、震災後から4週間程度不眠が続くかもしれません。日によって変動もあるでしょう。「今晩は眠れるかな?」と予測するのは止めましょう。緊張が増すばかりです。多くの方は自然に眠れる日が増えてきて、いつの間にか不眠のことを考えなくなります。

震災後の不眠対処を1)居住地(被災地、それ以外の地域)、2)時間経過(震災直後から4~8週間、より長期)、の二点から考えてみましょう。

震災後の不眠対処

震災後の不眠対処のまとめ

  1. 震災直後の不眠 被災地の方々の場合
    • “正常な”反応。過度の心配は不要。多くの方は自然に眠れる日が増えてくる。いつの間にか不眠のことを考えなくなる。
    • “眠れるときに眠る”昼でも夜でも良いので、 “眠れたという体験”を積み重ねる。不眠があっても淡々と受け止める。日々の生活をこなすことに集中する。
    • 睡眠薬は同量を継続する。急な断薬を避ける。
    • 不眠と間違えやすい“せん妄”に注意する。
  2. 震災直後の不眠 被災地以外の一般の方々の場合
  3. 慢性不眠
    • 8週間を超えてる不眠は注意が必要。
    • 不眠症状だけではなく、日中に不眠による深刻な問題がある場合には治療が必要。
    • うつ病などのこころの病気やその他の睡眠障害による不眠である場合もある。
    • 生活習慣病など持病の悪化に注意する。
  4. 慢性不眠をどう防ぐか、どう対処するか
    • さまざまな手段を使って“眠れたという体験”をすることが最も重要。
    • 眠ることで慢性不眠の悪循環を断ち切る。
    • 睡眠薬の服用も考える。
    • 誤った睡眠習慣を正す。1)就床時刻を遅めに、2)寝床へのしがみつかない、3)睡眠のニーズを高める