厚生労働省の健康づくり運動である健康日本21《第2次》では、平成35年(2023年)までの身体活動・運動分野の目標を定めました。これらの目標を達成するためのツールとして厚生労働省健康局より発表されたのが「健康づくりのための身体活動基準2013」です。
日本における歩数の統計では過去10年間で1,000歩程度減少し、国民の健康を考える上で大きな懸念のひとつです。平成25年(2013年)4月から始まった厚生労働省の健康づくり運動である健康日本21《第2次》では、平成35年(2023年)までの身体活動・運動分野の目標として、「歩数の増加」「運動習慣者の割合の増加」といった個人の目標と、「運動しやすいまちづくり・環境整備に取り組む自治体の増加」のような地域・自治体の目標を定めました。これらの目標を達成するためのツールとして、平成25年3月18日、厚生労働省健康局より発表されたのが「健康づくりのための身体活動基準2013」です。
基準値の策定は最近のエビデンスに基づいて行われました。方法として身体活動と健康に関する大規模前向き観察研究(コホート研究)を系統的に調べるシステマティックレビューという手法と、各研究から得られたデータを統合して統計処理するメタ解析という手法が用いられました。さらに現在の日本における身体活動や運動習慣の現状も勘案されました。
将来予想される「早世」「生活習慣病等への罹患」「生活機能の低下のリスク」を減少させるために、個人にとって達成することが望ましい身体活動・運動体力の基準は以下のとおりです。
強度が3メッツ以上の身体活動を23メッツ・時/週行う。
具体的には歩行又はそれと同等以上の強度の身体活動を毎日60分以上行う。
強度が3メッツ以上の運動を4メッツ・時/週行う。
具体的には息が弾み汗をかく程度の運動を毎週60分行う。
強度を問わず、身体活動を10メッツ・時/週行う。
具体的には横になったままや座ったままにならなければどんな動きでもよいので、身体活動を毎日40分行う。
男性
18−39歳:11.0メッツ
40−59歳:10.0メッツ
60-69歳:9.0メッツ
女性
18−39歳:9.5メッツ
40−59歳:8.5メッツ
60−69歳:7.5メッツ
現在の身体活動量を少しでも増やす。
例えば今より毎日10分ずつ長く歩くようにする。
運動習慣をもつようにする。
具体的には30分以上の運動を週2日以上行う。
新基準は高齢者のための基準値を設けるなど、対象者の拡大にも力を入れています。具体的にはメタボリックシンドローム・高血圧症・脂質異常症・糖尿病といった慢性疾患に罹患している者にも新基準を適応するために必要な様々な情報を掲載し、単にポピュレーションアプローチのためだけでなく、特定健診・保健指導のようなハイリスクアプローチにも有用なツールとして身体活動基準を活用することができます。
さらに安全対策として「保健指導の一環としての運動指導の可否を判断する際の留意事項」「身体活動に安全に取り組むための留意事項」「保健指導の一環として運動指導を実施する際の留意事項」も併せて掲載されています。
(最終更新日:2023年01月19日)