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糖尿病神経障害(とうにょうびょうしんけいしょうがい)

糖尿病の合併症として最も多い、神経に起こる障害。感覚神経障害・運動神経障害・自律神経障害などの症状が表れる。

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糖尿病で高血糖の状態が長く持続すると、神経(感覚神経・運動神経・自律神経)に障害が及びます。これは多発神経障害とも呼ばれ、糖尿病神経障害といえば一般的にこちらを指します。頻度は低いですが、単一の神経に障害が起こる単神経障害もあります。

感覚神経に障害が起こると、足先からのしびれや痛み、冷感などが起きたり、ものに触れた時の感覚が鈍くなったりします。運動神経に障害が起こると、筋力が低下して歩きにくくなるなどの症状が表れます。

自律神経は血圧の調整や消化、排泄などを調整している神経で、障害されると、立ちくらみ・発汗異常・消化不良・下痢や便秘・排尿異常・勃起障害などが起こります。心血管の自律神経に障害が起こると、心拍が止まり急死することもあります。

単神経障害は目を動かす神経に生じることが多く、眼球の動かしづらさや、ものが二重に見えるといった症状が表れます。

糖尿病が悪化すると動脈硬化が進行して足先の血液循環が悪くなります。また、免疫機能の低下から細菌などに感染して炎症を起こしやすくなり、足の組織が死んでしまうこと(足の壊疽〈えそ〉)もあります。同時に神経障害が起きていると痛みを感じにくく発見が遅くなり、足の壊疽が進行した結果、下肢切断に至ることもあります。

【日本糖尿病学会監修】

(最終更新日:2024年8月26日)

木村 仁美 きむら ひとみ

筑波大学大学院人間総合科学学術院 社会健康医学

筑波大学医学群医学類卒業。日本医師会認定産業医, 健康スポーツ医。社会医学系専門医。日本移植学会移植認定医。

参考文献

  1. 矢﨑義雄、小室一成.内科学第12版.朝倉書店.2022
  2. 日本糖尿病学会.糖尿病治療ガイド2022-2023.日本糖尿病学会編・著.2022