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無酸素性代謝閾値 / AT(むさんそせいたいしゃいきち)

運動の強さを増していくとき、筋肉のエネルギー消費に必要な酸素供給が追いつかなくなり、血液中の乳酸が急激に増加し始める強度の値。

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軽い運動から運動の強さが徐々に増していくとき、有酸素運動から無酸素運動に切り替わる転換点となる運動強度のレベルのこと。英語では「AT: Anaerobics Threshold」といい、日本語では無酸素性作業閾値とも表します。

あまり激しくない運動では筋収縮のエネルギーを産生するときに酸素が消費されます(有酸素運動)。一方、激しい運動では酸素の供給が追いつかなくなり、筋収縮のためのエネルギー産生は解糖系(嫌気的代謝)が中心となります(無酸素運動)。
解糖系では糖質はピルビン酸に代謝されます。ピルビン酸がアセチルCoAとなり有酸素運動で消費されない場合、ピルビン酸は乳酸に分解されます。このエネルギー発生のしくみを乳酸性機構といい、これによって血液中の乳酸濃度が上がり始める手前の運動強度の限界点が概念的にATととらえられています。

最近ではより具体的な指標として、乳酸性作業閾値(LT: Lactate Threshold)、換気性作業閾値(VT: Ventilation Threshold)、血中乳酸蓄積開始点(OBLA: Onset of Blood Lactate Accumulation)などを用いるようになってきていますが、これらを総称したものをATと呼んでいる場合もあります。

トレーニングを積んだ運動選手などは心肺機能が強化されて酸素を取り入れる能力が高いため、より強い運動でも酸素不足になりにくく、ATが高くなります。