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CPR / 心肺蘇生法(cpr / しんぱいそせいほう)

呼吸・心臓が停止している人に対して、救命のために胸を強く圧迫したり息を吹き込んだりしてその動きを助ける方法。

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病気・負傷などにより呼吸や心臓が停止している人に対し、胸を強く圧迫したり息を吹き込んだりしてその動きを助ける救命方法です。特殊な器具や医薬品を使わずに行う方法で、AEDとともに一次救命処置(BLS)とも言われます。

手順としては、下記の流れで行います。

  1. 声をかけたり肩を叩いたりして、なんらかの「応答」や「しぐさ」の有無を確認します。
  2. 反応がない場合や反応があるかどうか迷った場合は協力者を求め、119番通報とAED(自動体外式除細動器)の手配を依頼します。
  3. 胸と腹部の動きを見て、10秒以内で呼吸を確認します。
  4. 呼吸がない、あるいは死戦期呼吸(しゃくりあげるような不規則の呼吸)の場合は、「心停止」とみなし、ただちに胸骨圧迫(心臓マッサージ)を開始します。胸骨圧迫は、強く(約5cm。乳児・小児に対しては胸の厚さの1/3)、速く(100-120回/分)、絶え間なく(中断は最小限に)行います。
  5. 人工呼吸の訓練を受けており、行う技術と意思がある場合は、胸骨圧迫30回と人工呼吸2回を1セットとして交互に繰り返します。
  6. AEDが到着したら、電源を入れて電極パッドを貼り、音声ガイドに従います。電気ショックの指示が出たら、周囲の人に離れるよう指示を出してから、除細動ボタン(ショックボタン)を押します。

このような、日本の心肺蘇生法のガイドラインについては、日本蘇生協議会(JRC)が原則5年に1度、より良い方法となるよう改訂を行っています。これは、国際蘇生連絡委員会(ILCOR)が発表する「心肺蘇生に関わる科学的根拠と治療勧告コンセンサス(CoSTR)」の改訂に基づくものです。
2015年の改訂では、「心停止かどうかの判断に自信がもてない場合も、ただちに胸骨圧迫とAEDの使用を開始する」「胸骨圧迫のテンポは、100-120回/1分とする」などの点が変更となりました。市民用のガイドラインとしては、厚生労働省「救急蘇生法の指針 2015」が公表されています。
救急車の到着までに平均5-6分かかるとされていますが、人間の脳は酸素が無くなってから3-4分で死に至ります。救急車を待つ間に一刻も早く心肺蘇生法を行うことが、救命率を大きく左右することとなります。

(最終更新日:2019年7月30日)

澤田 亨

澤田 亨 さわだ すすむ

早稲田大学 スポーツ科学学術院 スポーツ疫学研究室 教授

1983年福岡大学体育学部卒業。1985年順天堂大学大学院体育学研究科修了。博士(医学)。東京ガス株式会社人事部健康づくり担当者、国立健康・栄養研究所室長を経て、2018年に早稲田大学スポーツ科学学術院に教授として着任。体力と健康に関する研究に従事。専門はスポーツ疫学、公衆衛生学。