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アルコールと社会問題

わが国の飲酒パターンとアルコール関連問題の推移

日本では、戦後の経済成長もあり近年まで飲酒量が増加し、それに伴い様々な飲酒問題が生じてきました。男性は高齢化もあり近年、飲酒量は減ってきましたが、その一方で、女性はリスクのある飲酒者の増加、専門医療を受療する問題飲酒者の割合の少なさ、内科等に潜在する問題飲酒者等の問題があり、今後の課題となっています。

健康日本21(第二次)におけるアルコール対策

「健康日本21(第二次)」とは、2013(平成25)年から行われている国民健康づくり運動のことです[1]。基本方針に基づいて設定された53項目の目標の中で、飲酒(アルコール)に関して3つの目標が設定されています。2022年10月の最終評価では、改善がみられなかった項目もあり、アルコール健康障害対策のさらなる推進が重要視されています。

アルコール関連問題の分類

アルコールに関係した問題の全てはアルコール関連問題と呼ばれています。ここでは関連問題を飲酒量や依存のレベルを基準に分類しました。すなわち多量飲酒・有害な使用・プレアルコホリズム・アルコール乱用・アルコール依存症です。各レベルはおおよそ依存の重症度を表しており、問題に対する指導や治療目標もこの分類に従うことが多いものです。

飲酒と事故

飲酒・酩酊により「交通事故」「転倒・転落」「溺水」「凍死」「吐物吸引による窒息」などの様々な事故が引き起こされます。飲酒に関連した事故を防止するためには、飲酒行動自体への取り組みが必要です。また飲酒事故の背景にアルコール乱用やアルコール依存症が存在する場合には、治療が必要となってきます。

飲酒と暴力

アルハラ・家庭内暴力・児童や高齢者への虐待・犯罪など、飲酒に関連した暴力はいろいろな場面で起こっており、社会的にも大変重要な問題です。飲酒に関連した暴力を防止するためには、その原因となっている飲酒を控えることが大切です。またアルコール乱用・依存症が背景にある場合には、それらに対する適切な治療が必要です。

アルコールの運転技能への影響

アルコールは運転に必要な技術や行動に対して極めて低い血中濃度から影響を与え、血中濃度が高くなればその分影響も強くなることが知られています。例えば集中力・多方面への注意・反応時間などは、日本の道路交通法により検挙される濃度(血中濃度0.03%)より低い濃度から障害されます。当然のことながら素面(しらふ)の状態よりアルコールの存在下の方が技術が向上するという証拠は全くありません。



開示すべきCOIはありません。