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禁煙はしたいけれど、まだ踏み切ることのできないあなたへ《関心期編》

「たばこが身体に悪いことはわかっている。やめたいとは思うが今はまだやめられない。」と考えている方に、少しでも前向きに禁煙を考えられるような情報を提供します。

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近年は多くの施設が禁煙となり、さらに改正健康増進法が成立するなど、喫煙者の皆さんにとって肩身の狭い時代となってきました。そんな中で心の中に少しずつ禁煙に対する関心が芽生え始めている方も多くなっています。
「禁煙はしたい。たばこが身体に悪いこともわかっている。でもなかなか踏み切れない。」そんな気持ちを持っている喫煙者の方は多いはずです。
ここではそんな皆さんに、禁煙について少しでも前向きな気持ちを持っていただくための情報を提供します。

1. 失敗しても損はない?

皆さんが禁煙を決意すること。それには大きな不安がつきまといます。この先ずっとたばこのない生活を送ると思うと、「そこまでして健康でいなきゃいけないのか?」と、なんとなくむなしい気がしてしまうのが喫煙者の心理であり、ニコチン依存症という病気の症状です。
そこで、禁煙を少し違う方向から眺めてみることをお勧めします。

まず皆さんが禁煙を開始するときに「今後一生禁煙しよう!」と思うことをやめましょう。
長期的な目標を最初から持つと、途中で疲れてしまいます。禁煙は失敗してもなんの損もありません。禁煙に失敗したからといってその瞬間に病気になったりする訳でもありません。元の喫煙者に戻るだけの話です。失敗を恐れず「とりあえずやってみる」という気持ちで気楽に実施しましょう。禁煙を生涯成功させる人の多くは、何度かの失敗を繰り返しています。禁煙は自転車の練習と同じで、何度も失敗しながら何が悪かったのかを学び、上手にできるようになっていくものです。今までに失敗の経験のある人は、それだけ禁煙のゴールは近いと思いましょう。

2. 離脱症状が不安。

禁煙するときに不安になるのが「離脱症状」。吸いたい気持ちが何度も訪れてイライラが積もり、たばこをやめたほうが逆にストレスが溜まって身体に悪いんじゃない?と思われる方も多いはずです。

「出勤後、たばこの火をきちんと消したかどうか気になって、もう一度家に戻った。火は消えていたので再度出かけた。途中たばこを吸いたくなって喫茶店に入ったら全席禁煙だった。外に出て吸おうと思ったら、路上喫煙禁止区域だった。それでも隅で吸い始めたら、通行人にとても嫌な顔をされた。携帯灰皿を持っていなくて人目が気になり吸殻が捨てられず、消したたばこの残骸を持ち歩くハメになった。」

たばこを吸うことは、皆さんもご存知のように多くのストレスが溜まります。これらのストレスは、たばこをやめることでなくなるストレスなのです。 かぜを引いたときに熱が出ます。この熱は身体がウイルスと戦っているときに出る症状です。よくなるために必要な経過なのです。これと同じように、禁煙したときに吸いたい気持ちがでるのは「たばこを吸わないことが普通」になるための症状で、よくなっていくための経過だと思いましょう。

(最終更新日:2018年10月03日)

谷口 千枝

谷口 千枝 たにぐち ちえ

愛知医科大学看護学部 成人看護学(療養生活支援) 准教授

2004年国立病院機構名古屋医療センター禁煙外来勤務、13年椙山女学園大学看護学部、18年愛知医科大学看護学部成人看護学(療養生活支援)講師を経て、2020年より現職。