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メタボリックシンドローム改善のための基本戦略

メタボリックシンドロームは、内臓脂肪蓄積を基盤として血圧や血糖、血清脂質の異常をひきおこす病態と考えられています。したがって、その基本戦略は、内臓脂肪の蓄積の改善であり、主な対処法は食べ過ぎと運動不足を解消することとなります。

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メタボリックシンドロームの診断基準を見ると、腹囲が基準値以上であることが必須条件となっています。これは、メタボリックシンドロームの元々の原因が内臓脂肪蓄積にあり、それを基盤として、血圧や血糖、血清脂質異常が起こっていると考えられるからです。内臓脂肪蓄積の指標としては、腹囲を用いています。つまり、腹囲が基準値以下になれば、血圧や血糖、血清脂質も改善する可能性が高いということです。

腹囲が大きくなってしまう最も重要な原因は、過食と運動不足です。そのため、メタボリックシンドロームの解消の基本戦略は、過食と運動不足の解消にありますが、これらはなかなか自力で改善することは困難な生活習慣でもあります。
仕事から帰ってくる時間が遅い人や、土日も仕事で忙しい人など、環境によっては運動する時間が取れない、という場合もあり得ます。また、血圧や血糖、血清脂質は、腹囲以外の要因の影響も受けますので、ただやせるだけではなく、食生活の改善や運動などを適切な方法で、並行して行うことが必要です。しかし、それを効果的に行う方法を、自分の力だけで習得することは難しいのが現実です。

そういう人は、ぜひ、保険者(加入している市町村国保や健保組合など)が提供する「特定保健指導」に参加してください。実際にメタボリックシンドロームにあてはまる人は、特定健康診査のあとで、特定保健指導の対象になり保険者から連絡がくるはずです。どのようにすればメタボリックシンドロームを解消できるかを、専門家が指導します。

(最終更新日:2019年11月11日)

山岸 良匡

山岸 良匡 やまぎし かずまさ

筑波大学医学医療系 社会健康医学 教授

茨城県出身。2000年筑波大学医学専門学群(現・医学類)卒業、03年筑波大学大学院博士課程修了。医師、博士(医学)、社会医学系専門医・指導医。筑波大学講師、准教授、ミネソタ大学客員講師などを経て、19年より現職。循環器疾患などの生活習慣病の予防実践と疫学研究が専門。