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介護予防と口腔機能の向上

2006年4月に介護保険制度が見直され、「介護予防」を重視する制度改正が行われました。介護予防の目的はふたつあり、「自立高齢者が要介護状態になることをできる限り防ぐこと」と「要介護高齢者がそれ以上に状態を悪化させないこと」です。「口腔機能の向上」はその両方に効果があることが認められ、介護予防サービスのひとつとして導入されました。

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なぜ介護予防が必要か

日本の65歳以上人口の急激な増加にともない、2000年より「介護保険制度」がスタートしました。
その後5年間で介護が必要であると認定を受けた高齢者(要介護高齢者)は218万人から425万人に達し、介護保険サービスの利用者も149万人から338万人に増加しました。なかでも介護の必要度が低い要支援・要介護1と認定された要介護高齢者の伸びが大きく、2005年度には要支援が約2.4倍の68.6万人、要介護1が約2.5倍の135万人に達し、要介護認定者全体の約半数を占めるに至りました。こうした問題を解決するために2006年に介護保険制度の全般的な見直しが行われ、「予防」を重視する制度改正が行われました。

  • 要介護認定を受けた人は5年2ヶ月で約199万人(91%増)
  • 特に要支援・要介護1の認定を受けた人が大幅に増加(140.5%増)

介護予防にはふたつの目的があります。ひとつは「要介護状態になることをできる限り防ぐ(遅らせる)こと」、もうひとつは「要介護状態であっても状態がそれ以上に悪化しないようにする(維持・改善を図る)こと」です。どのような状態にある高齢者であっても、そのひとの生活や人生を尊重し、できる限り自立した生活を送れるよう支援することが介護予防サービスの目的です。

なぜ口腔機能向上が必要か

口腔機能には「かみ砕く(咀嚼)・飲み込む(嚥下)」「唾液を分泌する」「言葉を発する(発音)」「表情をあらわす」など様々な役割があります。
食べることやコミュニケーションのための機能を維持することは、体の健康にプラスになるだけでなく、人や社会と活発に交流し、心身ともに自立した生活を送るために欠かせない要素であるは明らかです。また口腔機能の向上によって、食事の面からは栄養改善を通じて筋力の向上、会話の面からは社会交流を通じて閉じこもりやうつ予防に繋がることが期待できます。

一方で口腔機能が低下すると十分な栄養がとりにくくなることから、体力さらには免疫力の低下につながり、感染症にもかかりやすくなります。口腔機能のなかでも特に嚥下機能が低下し、誤嚥を繰り返していると誤嚥性肺炎など命にかかわる疾患の引き金になります。このような観点から健全な口腔機能とそれによって良好な口腔衛生状態を保つことの重要性が認められ、口腔機能訓練を含めた口腔ケアを日常の習慣として定着させるための取り組みが各地で広がりました。さらに2006年度からは介護保険制度の改正により介護予防サービスとして、口腔機能向上が導入されました。

東京医科歯科大学 歯学部 口腔保健学科 寺岡 加代

参考文献

  1. 厚生労働省
    介護保険事業状況報告
    http://www.mhlw.go.jp/topics/0103/tp0329-1.html
  2. 厚生労働省
    口腔機能の向上マニュアル
    http://www.mhlw.go.jp/topics/2009/05/tp0501-1.html