健康を維持増進するために必要な栄養素を食事から確保したり、生活習慣病を予防するためには、1日当たり日本酒1合程度までの飲酒量に留め、加えて週1回以上の休肝日を設けることが望まれます。
中食とは、惣菜店やコンビニエンスストア・スーパーなどでお弁当や惣菜などを購入したり、外食店のデリバリーなどを利用して、家庭外で商業的に調理・加工されたものを購入して食べる形態の食事をさします。単身者・高齢者の世帯のみでなく、全世帯で中食の利用は増加傾向にあり、健康管理の上でも中食の選び方を考える必要があるでしょう。
今日の私たちの食生活に関連しては、「健康問題」や「食料問題」がみられます。「食生活指針」は、これらの問題に対応して、日々の食生活をどのようにしたら良いかを10項目にまとめて示しています。
食事バランスガイドは、健康なひとを対象に健康的な食生活の実現をめざすツールとして作成されました。現在は個人だけの活用にとどまらず、「食環境整備」という観点からも食品産業による情報提供(パンフレット・商品の包装を利用した情報提供など)や商品開発(バランス弁当や外食店でのセットメニューなど)が積極的に行われています。
「何を」「どれだけ」食べたらよいかをわかりやすくコマのイラストを用いて示したのが食事バランスガイドです。この食事バランスガイドでは毎日の食事を「主食」「副菜」「主菜」「牛乳」「乳製品」「果物」の5つの料理グループに区分し、区分ごとに「つ(SV)」という単位を用いて1日の目安が示されています。
社員食堂の料理の提供方法は、定食方式とカフェテリア方式があります。ごはんやおかずを自由に組み合わせることができるカフェテリア方式では、望ましい組み合わせ方をすれば生活習慣病の予防が期待できます。しかし嗜好に偏った食事をしてしまいがちなのも事実です。選び方の基本を知ることや、献立表やプライスカードに記載されている栄養情報を活用することは、望ましい食事をとるための有効な方法です。
外食とは、食堂やレストランなどの飲食店やファストフード店・喫茶店・居酒屋・事業所給食等での食事を指します。外食の利用は、特に単身者や20~30代の男性で多い傾向にあります。外食店を日常的に利用する場合、健康管理のためにも、料理を上手に選ぶことが大切です。
栄養成分表示は、社会的背景により食生活を考える上で、益々ニーズが高くなっています。平成27年4月1日に食品表示法が施行され、容器包装に入れられた加工食品には栄養成分表示が義務づけられました。表示義務のあるのは、熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム(食塩相当量で表示)です。
コンビニエンスストアは、年中無休で24時間営業の店が多く、小規模な店舗の中では、食料品や日用品を中心に2000~3000種類もの商品が扱われています。ライフスタイルが多様化する中、毎日の生活に欠かせない商品を必要な時にいつでも購入できるコンビニエンスストアは、日常生活の中で非常に身近な存在です。健康管理の上でも、上手な活用方法を考える必要があるでしょう。
お菓子は私たちに喜びや楽しみを与えてくれます。しかし減量などのために「お菓子は食べないようにしましょう」「控えめに」などと助言されたとき、どうすれば良いのでしょうか。大切なのはどのようなお菓子にはどのくらいのエネルギーが含まれているのかを知り、食べる量を調整することです。
「栄養3・3運動」は、健やかな毎日のための基本的な食生活のあり方を簡単に示したもので、「3・3」は3食・3色を意味し、毎日、朝・昼・夕の3食と、3色食品群のそろった食事をとるよう勧めています。
血液中の脂質の濃度が基準の範囲にない状態を脂質異常症といいます。動脈硬化性疾患にならないようにするためには、早期に脂質異常症を改善する必要があります。いずれの脂質も食事からの摂取だけでなく、肝臓でも作られて血液で全身に運ばれますから、摂取する栄養素の量と組み合わせを調整して対応しましょう。
血液中の脂質の濃度が基準の範囲にない状態を脂質異常症といいます。脂質異常症には、他の基礎疾患と関係のない「原発性脂質異常症」と、他の疾患(肥満、糖尿病、腎疾患、内分泌疾患、肝疾患など)や薬物使用に基づいて起こる「続発性脂質異常症」があります。
快便は、快食、快眠と並び健康的な生活を支える三原則の一つと言われています。しかし、不規則な食生活やバランスの偏った食事、運動不足やストレスなどの要因、ならびに近年の高齢化の進展に伴い、便秘の有訴者率が増加傾向にあります。ここではまず、2017年10月に発行された慢性便秘症診療ガイドライン2017[1]より、便秘・便秘症の定義と診断基準をご紹介した後、その予防と治療における食習慣を含めた生活習慣のあり方について解説します。
食生活や生活習慣が多様化した現在では、過食や運動不足による「肥満」や「メタボリックシンドローム」がある一方で、不健康なダイエットなどによる「やせ」も社会問題となっています。楽しく健康でいきいきと過ごすためには、適切な体重の認識と体重管理が大切です。
貧血とは赤血球に含まれる血色素(ヘモグロビン)濃度が低下した状態をいいます。もっとも多い貧血の種類は、鉄欠乏性貧血です。鉄欠乏性貧血の予防のためには、食事からしっかりと鉄など必要な栄養素をとることが大切です。そのために動物性食品・植物性食品をバランス良く食べることがポイントです。
骨粗鬆症が原因で起こる高齢者の骨折は、生活の質(QOL)を大きく損なうため、骨粗鬆症の予防が重要です。ここでは、骨粗鬆症の予防におけるカルシウム摂取の重要性と望ましい食生活のポイントを中心に示します。
多くの若い女性が持つ「やせ願望」やダイエット指向。実はその多くの者がやせる必要がないのに、偏った食生活を送ったり極端なダイエットを繰り返しています。若い女性の「やせ」は多くの健康問題のリスクを高め、さらに若い女性や妊婦の低栄養問題は「次世代の子ども」の生活習慣病のリスクを高めると危惧されています。
メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪型肥満を共通の要因として、高血糖・脂質異常・高血圧を呈する病態で、診断基準のひとつにウエスト周囲径があります。この予防には食事・食生活が重要です。食行動と行動変容の準備状態・食事内容の現状を認識し、目標達成に向けた活動と、やる気が継続できるしかけを自分なりに工夫をすることが大切です。
糖尿病は何らかの原因によって血糖値のコントロールを失い、高血糖状態が継続する病気です。高血糖状態が継続することによって、糖尿病合併症(糖尿病性網膜症・糖尿病性腎症・糖尿病性神経障害など)をひき起こします。
糖尿病の食事療法は、血糖値のコントロールを助け高血糖状態が継続することを避けることにより、合併症を予防することを目的に行われるものです。患者さんやその家族が糖尿病の食事療法を理解し計画・実行しやすくするために、食品交換表が作られています。
高尿酸血症は何らかの原因によって血液中の尿酸が異常に多いものです。血液中の尿酸値が異常に高い状態が続くと、尿酸が関節(特に足の指)などに沈着して腫れ上がり、激痛(痛風発作)を覚えます。かつてはお金持ちの病気と考えられ「帝王病」「贅沢病」といわれていましたが、その発症に生活習慣が深くかかわる生活習慣病のひとつです。患者の多くに肉食・大酒・肥満が特徴的に見られ、脂質異常症・糖代謝障害を合併しています。
高尿酸血症の食事療法では「肥満の解消および予防を目的とした適正エネルギー摂取」「尿酸の原料となるプリン体の過剰摂取制限」「飲酒習慣がある場合は適正飲酒」「尿酸の排泄を助けるために十分な飲水」を行います。
食習慣の乱れや食事の偏りを見直し、少しずつでも改めることによって、高血圧の予防や治療に結びつけることができます。決して難しいことばかりではありません。無理せずできることから気長に取り組んでみましょう。
健康づくりにおいて、肥満の予防は重要な位置づけを持ちます。肥満度の判定にはBMI(Body Mass Index)が用いられますが、同じBMIでもどこに脂肪がついているかで健康への危険性は大きく異なります。肥満のタイプは「内臓脂肪型肥満」と「皮下脂肪型肥満」に分けられ、前者の方が生活習慣病を発症するリスクが高いことがわかっています。肥満の予防には、食生活の見直しと併せて継続的に運動を取り入れることにより、さらに効果が期待できるでしょう。
果物は水分・ビタミン・ミネラル・食物繊維を含みます。野菜と異なる点はブドウ糖や果糖の糖質を多く含むことです。果物を食べすぎると、糖質の過剰摂取により中性脂肪の増大や肥満をきたすおそれがあります。果物に含まれる栄養素と果糖の栄養について解説します。
市場にはいわゆる「健康食品」と呼ばれる食品が数多く流通していますが、「サプリメント」「栄養補助食品」「栄養強化食品」「健康飲料」などの名称にはどれも法令上の定義はありません。これらの食品を含む通常の食品は、食品の「機能」を表示することはできません。日本では国によって制度化されている食品は保健機能食品のみです。保健機能食品は長らく「特定保健用食品」及び「栄養機能食品」の2つだけでしたが、2015年の食品表示法の施行により、食品の機能を表示できる食品として機能性表示食品が加わりました。ここでは特保(特定保健用食品)を中心に、栄養機能食品及び機能性表示食品についても概説します。
まとまった時間がとれなくても、心がけしだいで毎日の生活の中で身体活動量を増やすことができます。
そのヒントを動画でご紹介します。
健康によい行動を行う可能性を高める要因が存在する一方で、健康によい行動を行うことを妨げる要因も存在します。健康によい行動を行う可能性を高めるには、健康によい行動を行うことを妨げている要因をできるだけ減らすことが必要です。
健康行動理論とは、人が健康によい行動を行う可能性を高める要因として、どのようなものがあるかを示す考え方をいいます。健康行動理論を活用して、健康によい行動を行う可能性を高めるには、これらの要因を満たすような働きかけが必要になります。
セルフ・エフィカシーとは、ある行動をうまく行うことができるという「自信」のことをいいます。人がある行動へのセルフ・エフィカシーを強く感じていると、その行動を行う可能性が高まると考えられ、セルフ・エフィカシーを高める主なポイントとしては、「成功経験」と「代理経験」が挙げられます。
行動変容ステージモデルでは、人が行動を変える場合は「無関心期」→「関心期」→「準備期」→「実行期」→「維持期」の5つのステージを通ると考えます。行動変容のステージをひとつでも先に進むには、その人が今どのステージにいるかを把握し、それぞれのステージに合わせた働きかけが必要になります。
運動中に発生するけが・事故には、筋損傷、心疾患、転倒、熱中症等があることが報告されています[1][2][3]。これらのけが・事故の予防と対策をするための方法として、いくつかの注意点があります。
運動実施時に、けがや事故が発生することがありますが、運動の効果は、けがや事故などの運動によるリスクを上回ると考えられています。また、運動によるけがや事故の発生は少数であり、適切な運動内容であれば、大きなリスクはないことがわかっていますので、適切に運動を実施することが大切です。
糖尿病の治療には、運動療法・食事療法・薬物療法の3本柱があります。運動療法により血糖コントロール・インスリン抵抗性・脂質代謝の改善が得られ、糖尿病を改善します。運動療法の目標として、運動の頻度は週に150分かそれ以上、週に3回以上、運動強度は中等度(ややきつい)の全身を使った有酸素運動、運動持続時間は20分以上行うことが一般的に勧められています。また、連続しない日程で週に2~3回のレジスタンス運動の両方を行うことが勧められています。
高血圧治療の基本は生活習慣の修正(運動療法・食事療法)と薬物治療があります。運動療法として、運動の頻度は定期的に(できれば毎日)実施し、運動量は30分以上、強度は中等度(ややきつい)の有酸素運動が一般的に勧められています。運動療法により降圧効果が得られ、高血圧症が改善されます。
脂質異常症(高脂血症)の治療は、生活習慣の改善が根幹であり、安易な薬物療法は慎み、薬物療法中も生活習慣の改善を行うべきとされています。運動療法として、中強度以上の有酸素運動を中心に定期的に(毎日合計30分以上を目標に)行うことが推奨されています。運動療法により血中脂質の改善効果が得られ、脂質異常症を改善します。
運動単独で内臓脂肪を減少させるためには、少なくとも週当たり10メッツ・時以上の有酸素性運動を加える必要のあることが、系統的レビューにより報告されています。有酸素性運動であれば、種目・強度の違いによる効果の差は認められておらず、ウォーキング・自転車エルゴメータ・ジョギング等いずれの種目を用いる場合でも、エネルギー消費量をより高めるよう実践することが重要です。
骨粗鬆症は骨が脆くなって骨折しやすい状態をいいます。腰椎や大腿骨の骨折によって、腰痛や寝たきりの原因になることさえあります。骨粗鬆症を予防するためには、カルシウムの摂取と日光浴に加えて、ウォーキングや筋力トレーニングなど骨に刺激が加わる運動が推奨されます。
バランス能力とは、静止または動的動作における姿勢維持の能力のことで、この能力は感覚系・中枢司令系・筋力系などの要素によって決まります。高齢者においてはこのうちの筋力の要素がより重要であることが指摘されています。バランスボールなどのトレーニング器具を使ったトレーニングが実施されていますが、それらによる効果は研究により確認されています。
ストレッチングを実施する際に注意すべき原則は5つあります。「1. 時間は最低20秒」「2. 伸ばす筋や部位を意識する」「3. 痛くなく気持ち良い程度に伸ばす」「4. 呼吸を止めないように意識する」「5. 目的に応じて部位を選択する」ということです。
ストレッチングとは意図的に筋や関節を伸ばす運動です。体の柔軟性を高めるのに効果的であり、準備運動や整理運動の一要素としても活用されています。最近では美しい姿勢の保持やリラクゼーションの効果が明らかとなってきました。広い場所や道具を必要とすることなく行えることから、愛好者が増えている運動のひとつです。
強い足腰は活動的な日常生活をおくるうえで非常に重要です。お勧めのトレーニング法は椅子から立ち上がって座る「椅子スクワット」です。膝への負担が小さく安全に効果的に足腰を鍛えることができます。また足を前方に振りだす筋力を鍛える腿あげ運動も合わせて行うとよいでしょう。
全身持久力はスタミナや粘り強さのことをいいます。運動生理学の分野では、最大酸素摂取量という指標によって全身持久力を評価します。最大酸素摂取量が多い人は心血管系疾患の罹患率や死亡率が低いことがいくつかの研究で明らかにされています[1][2]。つまり全身持久力を高めることは、健康づくりに役立つといえます。
スロートレーニングとは、筋肉の発揮張力を維持しながらゆっくりと動作するレジスタンス運動のひとつの方法です。比較的軽めの負荷であっても、ゆっくりと動作することで大きな筋肥大・筋力増強効果を得ることができます。関節や筋肉にかかる負荷が小さいことから、安全に行える効果的なレジスタンス運動として期待されています。
立ったり歩いたり姿勢を維持したりといった日常動作の基盤となる筋肉が、QOL(Quality Of Life:生活の質)に強い影響を与える筋肉といえます。具体的には太腿前の大腿四頭筋・お尻の大臀筋・腹筋群・背筋群があげられます。これらの筋肉を鍛えるトレーニングを継続的に行うこと、また日常から活動的な生活を送ることが大切です。
効果的な運動プログラムを作成するためには、トレーニングの原理原則に従うことが大切です。また健康づくりのための運動プログラム作成の際には安全性を最重視する必要があります。その際は個人の潜在的なリスクや体力水準、体組成などの評価が重要となります。
身体活動量を増加させることは、生活習慣病や心血管疾患の発症リスクを低減させます。しかしながら、この身体活動量の多寡や運動量には、後天的要因だけでなく、一部遺伝的要因も関与していることがわかっています。現在、どのような遺伝子の違い(多型)により、それが左右されるのかを調べる研究が行われています。
持久的能力や筋力といった身体能力には、一部に遺伝的要因が関与していることが明らかとなっています。近年ではどのような遺伝子における違い(多型)が関与しているかが研究されており、今後遺伝子タイプによる種目の選択や、個人に適したトレーニング方法が提供できるようになるかもしれません。
子ども時代の運動経験は、成人期以降の体力レベルあるいは身体活動状況を左右するというトラッキングの可能性が指摘されています。したがって、子ども時代の身体活動の重要性を十分に理解し、子ども達が積極的に身体を動かすことのできる環境あるいは政策の支援がこれまで以上に必要です。
比較的大規模な集団の活動量を評価する場合には、質問紙法や活動記録法が用いられることが一般的ですが、得られた結果の妥当性や再現性は対象者の年齢や活動特性に依存します。一方で加速度計は入浴などを除き、基本的には機器の装着のみで活動量を測定できるため、幅広い対象者に用いることが可能です。
一般的に加齢に伴って基礎代謝量は低下します。その主な理由として筋肉などの除脂肪量の低下があげられます。このことは活動時のエネルギー代謝量が低くなることにもつながります。また、活動量の低下などその他複数の要因が組み合わさり、総エネルギー消費量(24時間相当)も加齢に伴い低下していきます。
身体活動によるエネルギー消費は、運動によるものと、家事などの日常生活活動が該当する非運動性身体活動によるものの、大きく2つにわけることができます。個人差がありますが標準的な身体活動レベルの人の総エネルギー消費量(24時間相当)のうち、身体活動によって消費するエネルギー量は約30%を占めます。
現在のエネルギー代謝の評価は、呼気中の酸素および二酸化炭素濃度を測定する間接熱量測定法による場合がほとんどです。短時間のエネルギー代謝を評価する場合には、ダグラスバッグや携帯型代謝測定装置を用いることが多く、24時間から1週間のエネルギー代謝の評価になるとヒューマンカロリメーターや二重標識水法などの高額な評価法が用いられます。
ヒトが生命を維持するためには、生体内においてエネルギーを作り出すことが必要です。有酸素性エネルギー代謝は、そのエネルギー生成過程のひとつの経路で、主に脂肪酸をエネルギー源として利用します。このエネルギー代謝は、運動中においても重要な働きをしています。
誰もが簡単にできるメタボリックシンドロームのチェック方法、腹囲の正しい測り方を紹介します。
血液中の尿酸が高い状態が高尿酸血症です。痛風や腎結石、尿路結石の原因であるほか、高尿酸血症がある人では、肥満や高血圧、脂質異常症、高血糖を複合的に合併することが多くなっています。
脳血管障害(脳卒中)には、脳の血管が詰まる脳梗塞と脳の血管が破れる脳出血、くも膜下出血があります。いずれも高血圧が最大の原因です。
喫煙やLDLコレステロールの高値、高血圧、メタボリックシンドロームなどにより心臓の血管の動脈硬化が進行すると、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患を引き起こしやすくなります。
血液中の脂質の値が基準値から外れた状態を、脂質異常症といいます。脂質の異常には、LDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)、HDLコレステロール(いわゆる善玉コレステロール)、トリグリセライド(中性脂肪)の血中濃度の異常があります。これらはいずれも、動脈硬化の促進と関連します。
日本人の高血圧の最大の原因は、食塩のとりすぎです。若年・中年の男性では、肥満が原因の高血圧も増えています。飲酒、運動不足も高血圧の原因です。高血圧は喫煙と並んで、日本人にとって最大の生活習慣病リスク要因です。
糖尿病は、血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が多くなりすぎる病気です。初期には症状がほとんどありませんが、進行すると動脈硬化が進み、脳卒中や虚血性心疾患になりやすくなります。また3大合併症として、網膜症、腎症、神経障害があり、失明や透析につながる病気でもあります。
特定健康診査は、いわゆる「健診」のことで、問診、身体測定、血圧測定、血液検査、尿検査などを行います。メタボリックシンドロームや高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病を早期発見し、早期対策に結びつけることが目的です。
特定保健指導では、特定健康診査の結果に基づき、メタボリックシンドロームの人には「積極的支援」、その予備群には「動機づけ支援」、それ以外の受診者には「情報提供」が行われます。
メタボリックシンドロームは、内臓脂肪蓄積を基盤として血圧や血糖、血清脂質の異常をひきおこす病態と考えられています。したがって、その基本戦略は、内臓脂肪の蓄積の改善であり、主な対処法は食べ過ぎと運動不足を解消することとなります。
日本では、ウエスト周囲径(おへその高さの腹囲)が男性85cm・女性90cm以上で、かつ血圧・血糖・脂質の3つのうち2つ以上が基準値から外れると、「メタボリックシンドローム」と診断されます。
メタボリックシンドロームとは、内臓肥満に高血圧・高血糖・脂質代謝異常が組み合わさることにより、心臓病や脳卒中などになりやすい病態を指します。単に腹囲が大きいだけでは、メタボリックシンドロームにはあてはまりません。
具体的な生活習慣の改善に向け、主体的な行動変容をうながすための効果的なコミュニケーションの手法を明らかにする観点から、食生活についての「コミュニケーションの手引き」を作成しました。