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低体重児出産のメタボリックシンドロームのリスク

子どもの誕生時の出生体重が低い場合、成人になってからメタボリックシンドロームを発症する危険性が高くなります。そのため妊娠期また妊娠前から低出生体重児出産のリスクを防ぐ生活習慣をもつことが重要視されています。

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以前は妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病の発生を防ぐために、妊婦の肥満のリスクを極力減らす対策が重視されていました。そのため子どもは「小さく産んで大きく育てる」のがよいとされ、妊婦の体重管理指導が厳しく行われてきました。
しかし近年では若い女性を中心としたダイエット志向の高まりや妊娠期の過度の体重制限から、胎児の健康的な発育に必要な栄養が確保できず、結果として出生体重が2,500g未満の「低出生体重児」が誕生するケースが増えています。

低出生体重児として生まれると、成人になってメタボリックシンドロームを発症する危険性が高まることが指摘されています。
英国のバーカー教授らは、低体重児として生まれた子どもは大人になってから高血圧・2型糖尿病脂質異常症などに罹患する確率が高くなるという調査結果を発表しました。また別の調査では、第2次世界大戦末期のオランダで飢饉により低出生体重で生まれた子が、成人期に肥満や耐糖能異常を発症しやすくなったという報告もあります。
こうした研究結果からも現在では、生まれてくる子のメタボリックシンドロームを防ぐためには、妊娠期また妊娠前から適正な食事量と栄養のバランスを確保することが必要であると考えられるようになりました。

特に近年では20~30代女性の低体重(やせ)化が問題になっています。これは日本だけにみられる特徴的な現象です。2011年の国民健康・栄養調査(厚生労働省)では、20代の21.9%、30代の13.4%の女性が低体重(BMI18.5未満)であり、ここ約20~30年間で急速に増加しています。
こうした低体重の女性は、将来妊娠すると母体が胎児の発育に必要な栄養状態を維持することが難しく、低出生体重児を出産する可能性が高くなります。標準体重の女性でも妊娠中の体重増加量が7kg未満となると低出生体重児を出産するリスクが高まりますが、ある調査ではBMI19.5未満の妊婦の場合は10kgまで体重が増えても低出生体重児の出生割合が非常に高いことが分かりました。
そのため将来出産を希望する女性は、過度のダイエットに注意し、また妊娠後は産婦人科医の指導のもと、適度な体重増加を目指していく必要があります。

逆に肥満傾向のある妊婦(BMI25.0以上)は、妊娠糖尿病・妊娠高血圧症候群を発症するリスクが高まり、やはり低出生体重児を出産する可能性が高まります。

こうした状況からも将来出産をする予定のある女性は、妊娠前から適正な体重を保ち、適度な食事量と栄養のバランスを守って、生まれてくる子のメタボリックシンドロームを防ぐ生活習慣を心がける必要があります。

公益財団法人結核予防会 新山手病院 生活習慣病センター長 宮崎 滋

筑波大学 医学医療系 社会健康医学 講師 山岸 良匡