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メタボリックシンドロームのメカニズム(1) 動脈硬化編

メタボリックシンドロームになると、たまった内臓脂肪から脂質がたくさん放出されます。その結果、中性脂肪の増加や善玉のHDLコレステロールの減少をまねき、動脈硬化が進行します。

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私たちが余分に栄養をとったとき、余ったエネルギーは脂肪に作り替えられます。脂肪はまず肝臓や腸管膜に蓄えられ、次に皮下脂肪に蓄えられます。腸管膜というのは、小腸や大腸を支えている膜で、ここたまる脂肪を内臓脂肪といいます。

内臓脂肪は皮下脂肪にくらべ合成と分解がさかんで、栄養の余分があれば脂肪を合成してここに蓄え、不足すると分解して取り出して使用します。皮下脂肪が定期預金とするならば、内臓脂肪は財布がわりの普通預金のようなものであると言えます。

このように内臓脂肪は出し入れが盛んですから、増えるとすぐに血液中に放出され、血液中の脂質が増加します。その結果として中性脂肪が増え、逆に善玉のHDLコレステロールが減少してしまうのです。この状態が脂質異常症(高脂血症)で、動脈硬化を進める重要な原因になります。

もう少しくわしく説明しましょう。内臓脂肪が分解して生じた遊離脂肪酸は、すぐに肝臓に取り込まれ、血液中の脂質を運搬するカプセル(リポ蛋白)に詰め込まれ、VLDL(超低比重リポ蛋白)がたくさん作られます。VLDLには中性脂肪が積み込まれていますから、これがふえれば血液中の中性脂肪が高い状態になります。VLDLは全身に中性脂肪を配って歩き、おろし終わるとLDL(低比重リポ蛋白)に変わります。たくさんあったVLDLがLDLに変わるのですから、LDLも多くなります。LDLには主にコレステロールが積み込まれていますから、血中のLDLコレステロールの値が高くなるのです。

LDLは全身にコレステロールを配って積み荷が少なくなると、HDL(高比重リポ蛋白)に変わって、今度は余分になったコレステロールを回収していきます。ところがLDLが多すぎると全身のコレステロールが余ってしまうので、積み荷をおろせなくてHDLに変身できなくなります。古くなったLDLコレステロールは活性酸素に酸化されて小型になり、血管内皮にもぐりこんで蓄積し、動脈硬化をすすめることになるのです。さらにVLDLが配った中性脂肪が燃焼して生じたレムナント(燃えかす)も、血管内皮に入り込んで動脈硬化をすすめる一因になります。

一方では、LDLから生じるHDLが少なくなるために、HDLコレステロールの値が低下します。

このようにメタボリックシンドロームは脂質異常を引き起こして動脈硬化を進行させますが、さらに脂質と糖質の代謝をコントロールしているアディポサイトカインの分泌異常も起こし、これがインスリンの働きを悪くするので、糖尿病や動脈硬化を進める原因にもなるのです。

公益財団法人結核予防会 新山手病院 生活習慣病センター長 宮崎 滋