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INTERVIEW

インタビュー

女性の健康 ~加藤貴子さんインタビュー~

不妊治療を経て、44歳、46歳で2度の出産を経験された女優の加藤貴子さん。
現在は子育てに励みながら、女優としても活躍中です。ご自身の経験を振り返って、女性にとっての大きなライフイベントである妊娠・出産・育児、それに伴う心身の変化や喜怒哀楽など、女性の健康について語っていただきました。

女性の健康 ~加藤貴子さんインタビュー~

女性の健康~加藤貴子さんインタビュー~ 女性の健康~加藤貴子さんインタビュー~

不妊治療を経て、44歳、46歳で2度の出産を経験された女優の加藤貴子さん。
現在は子育てに励みながら、女優としても活躍中です。ご自身の経験を振り返って、女性にとっての大きなライフイベントである妊娠・出産・育児、それに伴う心身の変化や喜怒哀楽など、女性の健康について語っていただきました。

プロフィール

PROFILE
加藤 貴子さん TAKAKO KATO
1970年生まれ、静岡県出身。女優。ドラマ『温泉へ行こう』シリーズ(TBS)の主演をはじめ、『花より男子』『科捜研の女』シリーズなど、ドラマや映画を中心に多数の作品に出演。2014年11月に第1子となる男児、2017年8月に第2子となる男児を出産。2018年に上梓した『大人の授かりBOOK~焦りをひと呼吸に変える がんばりすぎないコツ~』(ワニブックス)では、自らの妊活や不妊治療について前向きな言葉でつづり、多くの共感を集めている。

INTERVIEW

子どもと一緒に泣いたり笑ったり、毎日を全力で駆け抜けています!

子どもと一緒に泣いたり笑ったり、毎日を全力で駆け抜けています!

「働くお母さん」として、毎日、育児とお仕事の両方にしっかりと向き合われているのですね。

日々の生活は、ひとことでいうと「いっぱいいっぱい」です(笑)。「仕事と育児の両立」というとなんだかカッコいいけれど、なにしろいっぱいいっぱいなので「今日も元気にけがなく過ごせてよかった~。ありがとう!」といった感じですね。
そんな慌ただしい毎日を過ごしていても、たとえば息子の誕生日といった節目節目の記念日には、それまでの日々を振り返ってみることにしています。すると、決して平たんではなかったこれまでの道を乗り越えて、家族みんなで笑顔を交わしながら過ごせる今この瞬間への感謝の気持ちが心からわいてくるんです。

最近では、お子さんと向き合っていてどのような気づきがありましたか?

5歳の次男は待つことが苦手。「ちょっと待って」といわれてもなかなか待てません。ところが、先日そんな次男が時計を見ながら、「じゃあ、この針が9のところになるまで待ってみるね」といってくれました。まだ時刻の読み方はわからないものの、自分なりに考えて「こうしてみよう」という目標を立てられるようになったんです。
それまでは、ほかの親子が交わす「ちょっと待っててね」「うん」という会話が聞こえてくると、「ほかの子たちはできるのに、どうしてうちの子はちっとも待てないんだろう」と思っていたんですが、本当はみんな違って当たり前。成長のスピードは一人ひとり違っても、こうやってできることが一つひとつ増えていくんですよね。むしろ、お母さんこそせっかちで(笑)、待ってあげられなかったんだね、ごめんね、と思いました。
でも、子どもの成長を心から願う一方で、早く成長してしまったら寂しいと思う気持ちもあって……。もっともっと甘えて欲しいような、欲張りな気持ちもあります(笑)。

42歳からスタートした不妊治療がきっかけで、健康を意識するように

42歳からスタートした不妊治療がきっかけで、健康を意識するように

44歳、46歳でお子さんを授かるまでのことを教えてください。

ずっと子どもが欲しくて妊娠を望んでいたのに、子どもを授からないまま40代を迎えても、不思議と焦りや不安はありませんでした。体力があり、女性は月経があって男性は射精ができる状態で、そしてタイミングさえ合えば、いつでも妊娠・出産できるはず――そう思っていたんです。
そんな私が不妊治療を始めたのは、42歳のとき。知人の紹介で不妊治療専門クリニックの門を叩いたのがきっかけでした。本格的な治療を始めるまで、卵子が老化することも、男性不妊のことも、何も知らなかったんです。
私の不妊治療は、それまでの無知だった自分に対する落胆と後悔でいっぱいで、まず自分のことを「裁く」ところから始まりました。自分を裁くことのストレスこそ「不妊治療の敵」と頭ではわかっていても、どうしても自分を裁くのをやめられなかったんです。

不妊治療のスタートと同時に、大きな驚きとストレスに襲われたのですね。

自分なりに乗り越え方を探ったり、時間の過ごし方を見つめ直したり――この濃厚な不妊治療期間を経たからこそ、今の私があるといえます。不妊治療を受けてみて改めて、「赤ちゃんを授かるためには、命を育む母親の体が健康でなければ」と思うようになり、食生活や良質な睡眠なども意識するようになりました。
体とこころは切っても切り離せないものだということを実感したのも、このころからです。もちろん、健康管理は大切ですし、健康診断も定期的に受診していますが、そういった体の健康もこころの健康と根っこは同じ。特に40~50代を迎えてから、心身ともに健康であることの大切さを強く感じています。

体とこころ、両方の健康があって、赤ちゃんに恵まれたのですね。

子どもを授かったのは、私だけの力なんていえません。私が悩み、苦しんでいるときに手を差し伸べてくれた家族や友人をはじめ、ブログを通して応援してくれたたくさんの人たちあってこそだと、心から感謝しています。

妊活中、ほかにも意識していたことはありますか?

私の不妊治療は自分の無知を後悔するところから始まりましたが、かといって何でもかんでも「絶対に調べないといけない!」「調べないと不安……」というレベルまで自分を追い込む必要はないと思います。自分が関心をもった情報は、追い詰められたりまわりに流されたりして決めるのではなくて、自分の頭でしっかり考えて、選択して、行動していけるといいですね。
妊活を通して、自分の目で見て判断することがいかに大切かを学びました。ネット社会となった現在では、目につくところに様々な人の意見があふれています。でも、インターネット上の口コミや評価は、あくまでもそれを書き込んだ人の主観であることを念頭に置いておくとよいかもしれません。どんなことであっても、自分にも「合う/合わない」は、やはりできる限り自分の目で確かめたり感じたりしてから、よく考えて決めていきたいですね。

子どもたちと毎日はつらつと過ごせるように、大好きなお酒とも節度ある付き合いを

長男のサクくん(右)と次男のアンくん(左)も、野菜作りをお手伝い 長男のサクくん(右)と次男のアンくん(左)も、野菜作りをお手伝い

現在、食生活で特に意識していることはありますか?

食卓には旬の物を取り入れようと心がけています。私は、食事でも季節を感じられると楽しくなれるんです。
自宅のベランダでも、野菜を育てています。野菜作りを始めたのは、妊活中になかなか赤ちゃんが授からず、「私はきっと何も育むことができないんだ……」と落ち込んでしまったことがきっかけでした。
もともと飽きっぽい性格の私が一抹の不安を感じながら育てようと決めた野菜は、「二十日大根」の別名をもつラディッシュでした。いざ育て始めると、3日坊主タイプの私にも、20日でラディッシュが作れちゃったんです! ぐんぐん育つラディッシュのおかげで、なんだか自信がわいてきました。それに、夢中になって土を触っていると、妊活中の不安な気持ちが土に吸いこまれていくようで、心がスーッと軽くなりました。野菜作りは私の性に合っているみたいです。
冬はブロッコリーやカリフラワー、夏はナス、トマト、ピーマン、パプリカ、ゴーヤ、オクラ、バジルのようなハーブなど、旬の野菜を育てたり、食卓に上らせたりして楽しみます。お店で野菜を買うときは、旬だけでなく、なるべく地産地消のものを選ぶように意識しています。

加藤さんのベランダ菜園では、様々な野菜が育てられている

加藤さんのベランダ菜園では、様々な野菜が育てられている

小玉スイカも収穫!

小玉スイカも収穫!

採れたての野菜は、みずみずしくて艶やか

採れたての野菜は、みずみずしくて艶やか

お子さんたちも野菜をよく食べるんですか?

野菜を無農薬で育てているからか、子どもたちは「うちで育てた野菜は甘いね!」といって、ピーマンなども生でモリモリ食べるんです。買ってきた野菜を料理するときも、愛情をもって育ててくれた農家の方への感謝の気持ちをこめて、おいしいいただき方を調べたり、重曹水で農薬を取り除く下ごしらえや、調理法にひと手間かけたりして、大切に口にするように工夫しています。すると、おいしいものが「よりおいしく」いただけるようになって、子どもたちも喜んで食べてくれるようです。

お子さんたちも野菜が大好き!

お子さんたちも野菜が大好き!

旬の野菜をふんだんに使った、彩り豊かな食卓

旬の野菜をふんだんに使った、彩り豊かな食卓

野菜たっぷりの食事で栄養バランスもバッチリですね。食生活のほか、運動習慣はいかがですか?

妊活中は主治医のアドバイスで、毎日45分間のウォーキングを続けていました。でも、出産後、仕事と2児の子育てを両立させながら毎日運動のための時間を確保するのは、なかなか難しいのが本音です。運動器具を購入したりもしましたが、やっぱり毎日は続かなくて……。それでも、たまに子どもとプールに行って泳いだりすると「ああ、体を動かすのってこんなに気持ちいいんだ」と実感しますね。
なるべく階段を使うなど、日常生活のなかでは意識して体を動かすように気をつけています。何より、子どもたちと過ごす毎日は、体を動かすことばかり。追いかけっこをするとね、実はなかなか追いつけないんですよ(笑)。

お酒を楽しむこともありますか?

お酒は大好きなんです! でも、お酒を飲んだ翌日は、朝スッキリ起きれないことが多くて……。お酒を飲むと、つい夜更かしもしてしまいますし(笑)。だから、妊娠中はもちろん出産後も、子どもたちと毎日はつらつと過ごせるように、飲酒量をグッと減らしました。イベントなどの特別な機会以外は飲まないし、日々の自宅での晩酌もほとんどしません。
時々、ベランダで土いじりをしたときや、仕事がひと段落したとき、「あーっ、冷たいビールが飲みたい!」と思うことはありますけど、それは特別なご褒美としてたまに、ね(笑)。嗜好品は節度をもって、ただし我慢しすぎずに付き合うのがポイントかもしれません。

嗜好品といえば、たばこについてはどうでしょう?

実は、不妊治療を始めるまでたばこを吸っていました。仕事柄、喜怒哀楽の様々な表現を演じ分けなければならないのですが、たとえば、号泣する演技のあとでスパッと切り替えて次のシーンに移るときなど、一服することで気持ちを切り替えていたんです。
不妊治療を始めるまでは、まさか喫煙と妊娠が深く関わっているとは思ってもみなかったので、「赤ちゃんによくないたばこは、妊娠したらやめよう」と軽く考えていたんです。ところが、不妊治療を始めてたばこと不妊が関係していると知って、きっぱりとやめました。お酒を飲むとたばこを吸いたくなるので、禁煙できるまで大好きなお酒も控えていました。
たばこをやめたら、それまでは気にならなかったまわりからの副流煙も気になるようになってしまって……。今までまわりの人に不快な思いをさせていたんだなあと、申し訳なく思っています。

こころの健康を保つ秘訣は、「がんばらないこと」

こころの健康を保つ秘訣は、「がんばらないこと」

日々の暮らしのなかで、こころの健康を維持するポイントはどんなことですか?

秘訣は、「がんばらないこと」。あんまりがんばると見返りを求めてしまったり、「こんなにがんばっているのに」という徒労感が募ったりして、かえってつらくなってしまうんです。さらに、その空気がダイレクトに家族に伝わったり、自分の体調にかえってきたりして……。だから、自分を苦しめたり追い込んだりする前に、「今日はお母さん本当に疲れたから、手を抜きます!」など、家族にはっきり伝えています。
毎日の食事では「丁寧に」を心がけているものの、本当に疲れたときは「今日のごはんはふりかけごはんだよ~」とか(笑)。でも、おむすびを作るとき、子どもたちに海苔を渡して「顔を作ってみて」というと、工作のような気持ちで楽しみながらおいしくいただくことができるので、「おいしくて楽しかったら十分だよね!」と、良し!としちゃっています。

ストレスをためないように加藤さんが意識していることは、どんなことでしょう?

日々楽しくすごすこと。「楽しい」というのは、ただ笑って過ごすのではなく、喜怒哀楽をきちんと感じて、自分を裁かずに認めて受け入れて、丁寧に過ごしましょう――っていうことなんですけど。本当のところ、できていないですね(笑)。私の課題です。もしかしたら、一生課題のままかもしれません。
私はがんばればがんばるほど空回りしちゃうところがあって……。たとえば、「今日は出掛ける前に洗濯物を干していこう」と決めて時間がないなかがんばったのに帰宅前にスコールが降ってしまったり、「せめてお味噌汁はお出汁からしっかり取ろう」と丁寧に作ったのにお鍋をひっくり返してしまったり。本当に、「ギャー!」っと叫びたくなるようなことばっかり(笑)。
そんな私の子どもたちの口癖は、「ドンマイ!」なんです。どんなことがあっても「ドンマイ! まあ、そういうときもあるよ」って。

ドンマイっていわれると、少しだけ気持ちが軽くなりますね。

逆に、私は子どもたちに厳しくて「何でこうなるの!?」って追及することも。すると、子どもたちからは「そこ、責める? カカ(お母さん)だってそういうとき、あるでしょ?」って。そういわれると、私も「そうねえ」と納得してしまいます。確かに、私がいちばんできていないかも(笑)。
大切なのは、自分との付き合い方をしっかり見つめることですね。「あっ、ここで無理するとかぜひくな」「けがするな」「疲れちゃうな」とか、ぜんぶ自分では既に学習済みのはず。なるべく、ありのままの自分を認めて、ねぎらってあげたいものですね。

自分を肯定するのはなかなかハードルが高い気がしますが、その方法は?

自分を声に出して褒めてあげることです。「私は本当によくやってる!」って。
私だっていつもニコニコと明るく過ごせているわけではないんです。むしろ、子どもたちに尋ねたら、「怖いです」っていわれると思います(笑)。実際、厳しいですし。
そもそも、私たちは「サボっていいよ」という教育を受けてきていませんよね。逆に、「やればできる」「がんばればできる」といわれながら育ってきたので、「サボり方」がわからずに、どうしてもがんばっちゃう。
とはいえ、がんばったからといって必ず結果につながるわけではない――これは、不妊治療を受けて私が学んだことです。がんばるばかりが美しいのではなくて、今ある状況を受け入れて、自分のことを理解し、褒めて、いたわってあげるのも大切。それが、心身の健康につながると感じています。

確かに、サボり方や力の抜き方って難しいかもしれません……

私の場合、不妊治療まで受けて授かった赤ちゃんの妊娠・出産・育児なので、「自分が望んだことなのに、疲れるなんてありえない」「子どもが欲しくて産んだんでしょ」「お母さんになりたかったのに、大変だなんてどういうこと!?」などと自分で自分を追い込んでいくことがたくさんありました。
今でも、仕事をしながら子育てをしていると、「子どもたちに寂しい思いをさせたくないのに……」と自分を責めてしまうこともありますが、それでも、「いやいや、これは悪いパターンだよね」と自分で自分を裁かないように気をつけています。特に、女性特有の月経や更年期といったホルモンバランスの乱れによってこころや体が振り回されることも少なくないのですから、「せめて自分だけは、少しくらい自分に甘くしてあげてもいいんじゃない?」と思うんです。

産後うつの状態になるきっかけには、様々な原因がありそうですね。

特にコロナ禍では、マスクをしていて顔全体が見えない相手とのコミュニケーションの難しさや、人の温度を感じる距離でコミュニケーションができないことによる孤立感が悩みの種。一方、インターネット上ではSNSを通じてたくさんの人のキラキラした情報が目に入ってきて、「この人はこんなに素敵だし、ちゃんとしているのに、それに比べて私はなんてダメな母親……」と思ってしまうことも。
こうした状況だからこそ、人と比べて「自分はダメだ」と裁くことをやめたり、自分に合った情報の取捨選択をしたりすることはとても大切です。自分にとって気持ちがいいと思えることだけをやってみたらいいし、少しでも違和感があったらやめてもいいんです。みんな違って当たり前なんだから、まわりを見回して落ち込むのではなく、キョロキョロせず前を向いて「歩けば自ずと見えてくる」くらいの気持ちで、肩の力を抜いて進みたいですね。

喜怒哀楽にしっかり向き合いながら、かけがえのない毎日を積み重ねていきたい

喜怒哀楽にしっかり向き合いながら、かけがえのない毎日を積み重ねていきたい

妊娠・出産・育児は女性にとっての大きなライフイベントですが、喜びだけではなく、心身の変化や負担も大きいように思います。

今、女性の生き方や働き方に対する考え方や環境が少しずつ変わってきているとはいえ、女性が仕事とプライベートを両立させて生きていくのはまだまだ大変なこと。特に、企業で働く女性にとって、結婚や出産に対する職場の理解やサポートが必ずしもしっかり行われているとはいえない一面もあるように感じています。
産休という制度があっても取得しづらかったり、たとえ取得できても元のキャリアに戻れなかったりして、本当に何の制約やストレスも受けずに働きながら子どもを育て上げて、家族の健康も守って……なんていう「スーパー母ちゃん」になるのは本当に難しい。それなのに、社会ではそんな女性の姿が当たり前に見られているような気がしてなりません。ほかの人と比べたり、できなかったことを後悔したりするのではなく、今の自分だけを見つめて、自分ができたことやがんばっているところをしっかりとねぎらって、自分のことを大切に思いやって欲しいと思います。
仕事が忙しくて夕飯にスーパーのお惣菜を買って帰ったときに、「手料理を作れなかったな……」と自分を責めないで、「子どもと一緒に過ごせる時間が増えてうれしい!」「疲れているところラクできた! お惣菜を作ってくれた人、一緒に食卓を囲んでいる家族のみんな、ありがとう!」という気持ちで過ごしたいですね。

やらなければならないことに追われてしまって、気持ちの余裕を失いそうになったら?

そんなときこそ、自分のことはしっかり褒めて、ねぎらってあげたいものです。特に、パートナーにはしっかり褒めてもらいましょう。「よくやってるよ! いつもありがとう!」って。パートナーからの言葉って、いちばん安心できるし、大きな支えになるんです。

パートナーがなかなか褒めてくれないタイプだったら(笑)、どうすればいいでしょうか?

パートナーの前で、大きな声で自画自賛しましょう(笑)。仕事から帰ってきて、夕飯の支度をして、子どもに食べさせて、お風呂に入れて、寝かしつけて――これ全部私一人でやったんだよ! すごいでしょ!って。できれば、含みなく褒めてもらいたいことを伝えましょう。夫婦って長く一緒にいると、お互いに甘えやちょっとした摩擦、誤解が生じやすくなるもの。だからこそ、「このくらい察して」ではなく、ちゃんと口にして、言葉を使って伝えていくことがとても大切だと思うんです。
私の夫は察するのが苦手(これは夫曰く、「お互い様」)。でも、その代わりに言葉に出してお願いされたことは全力でやってくれます。だから、「いわれなくてもやってよ。気が利かないんだから……」ではなく、やって欲しいことはしっかりと伝えるようにしています。そして、夫にやってもらったことは、感謝の気持ちを込めて「ありがとう」。――もちろん、ケンカだってしょっちゅうしますけどね(笑)。

女性の心身の健康を維持するためのたくさんのヒントになるお話を、本当にありがとうございました。これからはどんなふうに年齢を重ねていきたいですか?

これまでの生き方を振り返ってみると、「30代/40代/50代はこんなふうに過ごしたいな」と漠然と思い描いていた自分の理想像とはかけ離れた、波乱万丈な人生を歩んでいるような気がします(笑)。なかなか、平たんにはいかないものなんですよね。しかも、その時々の渦中にいると、「今は大変だけど、きっとこれも何かの意味があるはず」なんてちっとも思えないんです。とても、それどころじゃなくて。
でも、やっぱり、あとから「ああ、これはこんな意味があったんだな」と思えることが、たくさんの点になってつながっているんです。だから、「これ以上の不幸や災難はない!」と思うことがあっても、一つ一つに真摯に向き合っていく毎日を積み重ねていけば、きっと「何とかなるんだろうな」と、ここ10年来思うようになりました。こうしたことの積み重ねは、私の精神的な支柱になっています。
これからもっともっと年を重ねても、喜怒哀楽をしっかりと感じながら一日一日を過ごせて行けたらいいなあと思っています。体調管理だけでなく、こころにも素直に向き合えることが、私にとっては「健康に過ごす」ということですから。映画やライブで思いっきり感動の涙を流すのもいいし、「あっ、また連続で青信号だ。ラッキー!」といった日常生活の些細なことを楽しむのもいい。そうしたら、毎日が生き生きと彩られて、もっともっと素敵な、かけがえのないものになりますし、そうしていきたいですね。