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地域における自殺対策の支援

地方公共団体の自殺対策は、基本的には自殺対策連絡協議会等を中心に、地域の実情に応じて進められます。しかしそれは地域がばらばらに取り組むというわけではありません。その方針は自殺対策基本法や自殺総合対策大綱に示されています。また民間団体や国、大学や専門職の団体など様々な連携のもとに成り立っているのです。

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自殺対策基本法(2006)では、地方公共団体は国とともに施策に取り組む責務があるとうたわれています。

  • 第四条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、自殺対策について、国と協力しつつ、当該地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。

しかしそれぞれの地方公共団体では、自殺対策に取り組む上での準備状態も、あるいは文化的な風土にも違いがあるでしょう。その中でどのように方針を定め、施策に取り組んでいくのでしょうか。

全国の都道府県・政令指定都市には、2008年までに自殺対策連絡協議会が設置される予定です。行政/民間・医療・法律・福祉・教育・心理をはじめ、地域の多様な関係者が参加しています。各地域の自殺対策は、基本的にはこのような組織を中心に各地域で策定されます。やはり対策の基本は、地域の状況に応じてということになるでしょう。また日本の自殺対策では、民間団体の先駆的な取り組みが果たした役割は大きなものです。あらゆるレベル・領域の民間団体が、今後は地域と密接に連携しながら、自殺対策を充実させていくことが望まれます。

そして国もまた、様々な情報・支援を提供する準備を進めています。まず具体的な自殺対策の方向性を示すものとしては、自殺対策基本法に基づいて、自殺総合対策大綱(2007)が閣議決定されました。そこに当面の重点施策として示されているのは以下の九項目です。

  1. 自殺の実態を明らかにする
  2. 国民一人ひとりの気づきと見守りを促す
  3. 早期対応の中心的役割を果たす人材(ゲートキーパー)を養成する
  4. 心の健康づくりを進める
  5. 適切な精神科医療を受けられるようにする
  6. 社会的な取り組みで自殺を防ぐ
  7. 自殺未遂者の再度の自殺を防ぐ
  8. 遺された人の苦痛を和らげる
  9. 民間団体との連携を強化する

次に、このような個々の施策について、地域の自殺対策を支援する取り組みがあります。たとえば自殺の実態を明らかにするためには、世界各国で実施されている心理学的剖検という研究が、日本でも実施されることが期待されています。また従来の地域保健活動では対応しにくい、自殺未遂者の再度の自殺を防ぐ、遺された人の苦痛を和らげるといった課題については、その方針を示すガイドラインの作成が求められるところでしょう。現在、厚生労働科学研究補助金(こころの健康科学研究事業)のもとに、自殺予防総合対策センターにおいて、これらの準備が進められているところです。

また各地の大学・研究機関も自殺対策に乗り出しています。たとえば岩手医科大学や横浜市立大学等は地域の自殺対策の重要なキーマンとなって取り組みを推進しています。あるいは精神保健福祉士協会・日本臨床心理士会等といった関連専門職の団体もまた、それぞれの取り組みを期待されるところです。

さらに自殺対策基本法では、国・地域の責務だけではなく、第五条では事業主の責務として、国や地方公共団体の自殺対策に協力することを、第六条では国民の責務として自殺対策への関心と理解を深めることをも求めています。自殺対策は、日本のさまざまなレベルでの協力の下ではじめて推進されるものなのです。

独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 自殺予防総合対策センター 川野 健治