厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト

e-ヘルスネット

経静脈的線溶療法(けいじょうみゃくてきせんようりょうほう)

薬を使って脳梗塞の血栓を溶かす治療。
rt-PA(遺伝子組み換え組織型プラスミノゲン・アクチベータ)が特効薬として使用される。

twitterでシェアする

facebookでシェアする

脳にある血管が詰まって起こる脳梗塞を、血栓を溶かし再び血液が流れるようにする薬を用いて治療する方法を経静脈的線溶療法といいます。

日本では2005年から健康保険の適用が認められ、現在では標準治療として定着しました。rt-PA(遺伝子組み換え組織型プラスミノゲン・アクチベータ)は血栓を溶かす力が非常に強く、脳梗塞の特効薬として使用されます。脳梗塞発症から4時間半以内に静脈注射(点滴)で投与すれば、後遺症が残る確率を軽減できます[1]

ただし、効果的に使用するにはいくつかの条件があります。まず脳梗塞を発症したらなるべく早く処置することです。脳梗塞は、発症して血栓が詰まり血液が流れなくなった部分から脳虚血となり、脳細胞は死んでいきます。治療するのが遅れて脳や血管が傷んだ後に再度血液が流れ出すと、新たに脳出血を引き起こす危険があります。またrt-PAは全身に作用するので、ほかに出血しそうな部位があれば、そこから出血する可能性もあるので注意が必要となります。

実際の治療では、カテーテルを用いた経動脈的血行再建療法と併用して行われることがあります。

(最終更新日:2023年04月26日)

有屋田 健一

有屋田 健一 ありやだ けんいち

筑波大学大学院人間総合科学学術院 社会健康医学

2014年広島大学医学部医学科卒業。日本脳神経外科学会専門医。日本脳卒中学会専門医。

参考文献

  1. 日本脳卒中学会脳卒中ガイドライン委員会.脳卒中治療ガイドライン2021.東京:協和企画,2021.