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糖尿病性腎症(とうにょうびょうせいじんしょう)

糖尿病の合併症による腎疾患で、腎臓の機能が低下する。

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腎臓は、握り拳くらいの大きさで、ソラマメ状の形をしており、位置は腰の上あたりで左右に一つずつあります。血液中の老廃物を濾過して尿に排泄するとともに、体内の水分量やミネラル(電解質)バランス、血圧などを調節している臓器です。

糖尿病で高血糖の状態が長く続くと、全身の小さな血管が傷んで、血管が詰まったりします(糖尿病性細小血管症)。一つの腎臓に100万個ある糸球体と呼ばれる小さな濾過装置は、細い血管でできているため、細小血管症が起こりやすいです。糸球体が壊れると、初期には血液中のタンパク質(アルブミン)が尿に漏れ出します。この状態が長く続くと、糸球体が減少して老廃物を尿に捨てる機能が低下します。これが糖尿病性腎症です。

糖尿病性腎症の初期はほとんど自覚症状がありませんが、進行すると、むくみ・貧血・高血圧などを伴い、さらに進行すると透析や腎移植が必要になります。糖尿病性腎症は、日本における透析の原因疾患の第1位となっています[1]

きちんと検査や治療を行うことで、糖尿病性腎症は予防することが可能です。糖尿病を持つ方は、医療機関で定期的な微量アルブミン尿検査を行い、尿の中にタンパク質(アルブミン)が現れていないか確認することが大切です。

【日本糖尿病学会監修】

(最終更新日:2024年8月26日)

木村 仁美 きむら ひとみ

筑波大学大学院人間総合科学学術院 社会健康医学

筑波大学医学群医学類卒業。日本医師会認定産業医, 健康スポーツ医。社会医学系専門医。日本移植学会移植認定医。

参考文献

  1. 日本透析医学会.わが国の慢性透析療法の現況
  2. 矢﨑義雄、小室一成.内科学第12版.朝倉書店.2022
  3. 日本糖尿病学会.糖尿病治療ガイド2022-2023.日本糖尿病学会編・著.2022