生死に関わるような体験をし、強い衝撃を受けた後で生じる精神疾患。
日本の総人口の1.3%に生じるとされ、ありふれた病気といえます。3カ月以内に半分以上の方が自然回復するものの、1年以上経っても一定数の方は自然回復しないとする研究もあります。持続エクスポージャー療法(認知行動療法)やSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などの抗うつ薬で治療することができるようになってきました。
代表的な症状は以下の4つです。体験直後にこうした症状が出現することは普通ですが、それが体験後1カ月経っても続き、生活の妨げになっている場合にPTSDの診断がつきます。
慢性化したPTSDではトラウマ記憶の一部が「回避」によって思い出されず、記憶が断片化し、記憶の全体を整理することができません。そのために過去のことだと実感することができず、不安や恐怖が悪化したり、必要以上に自分を責めたり、人間不信になったりします。これを整理して、「トラウマ記憶は過去のことであり、思い出しても今の自分が被害を受けるわけではない」と実感してもらうことが治療の要点です。
(最終更新日:2021年8月25日)