厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト

e-ヘルスネット

PTSD / 心的外傷後ストレス障害(PTSD / しんてきがいしょうごすとれすしょうがい)

生死に関わるような体験をし、強い衝撃を受けた後で生じる精神疾患。

twitterでシェアする

facebookでシェアする

日本の総人口の1.3%に生じるとされ、ありふれた病気といえます。3カ月以内に半分以上の方が自然回復するものの、1年以上経っても一定数の方は自然回復しないとする研究もあります。持続エクスポージャー療法認知行動療法)やSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などの抗うつ薬で治療することができるようになってきました。

代表的な症状は以下の4つです。体験直後にこうした症状が出現することは普通ですが、それが体験後1カ月経っても続き、生活の妨げになっている場合にPTSDの診断がつきます。

●侵入症状=再体験症状
その体験の記憶が当時の恐怖や無力感とともに、自分の意志とは無関係に思い出され、まだ被害が続いているような現実感を生じます。
●回避・麻痺症状
出来事を思い出させるものを避けたり、出来事の記憶を思い出せなかったり、人ごとのように感じたりすることがあります。
●認知と気分の陰性変化
持続的で過剰に否定的な信念を持つようになったり、様々なことに関心や興味を持てなくなったり、以前は楽しめていたことが楽しめなくなったり、他者から孤立していると感じたり、幸福感や優しさなどの感情が持てなくなったりすること等がこの症状に含まれます。
過覚醒症状
いつも気持ちが張り詰め、ドキドキしたり、物音にひどく驚いたり、怒りっぽくなったりします。

慢性化したPTSDではトラウマ記憶の一部が「回避」によって思い出されず、記憶が断片化し、記憶の全体を整理することができません。そのために過去のことだと実感することができず、不安や恐怖が悪化したり、必要以上に自分を責めたり、人間不信になったりします。これを整理して、「トラウマ記憶は過去のことであり、思い出しても今の自分が被害を受けるわけではない」と実感してもらうことが治療の要点です。

(最終更新日:2021年8月25日)

金 吉晴 きん よしはる

国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 所長

1984年京都大学医学部卒業。民間病院を経て90年より国立精神・神経センター(現:国立精神・神経医療研究センター)精神保健研究所の研究員となる。95年には在外研究としてInstitute of Psychiatry(London、英国)に滞在。97年にはペルー日本大使公邸占拠事件における医療救助活動への参加に対して厚生大臣表彰を受賞。同センター成人精神保健部長を経て2019年1月より現職。International Society for Traumatic Stress Studies理事、New York State University adjunct professorなどを歴任。主な研究テーマは、PTSDの病態と治療、災害時精神医療。