依存症者に必要とされることに存在価値を見いだし、ともに依存を維持している周囲の人間の在り様。
例えばアルコール依存症の妻は、依存症に巻き込まれた被害者と言えます。一方で家族研究から、妻はアルコール依存症者のそばで病気の維持に手を貸している面があり、間接的にアルコールに依存しているという「共依存」ではないかという考えがでてきました。共依存者は被害者であるとともに共犯者でもあり、相手(依存症者)に必要とされることで自分の存在価値を見いだすためにそのような相手が必要であるという、自己喪失の病気であるといえます。
共依存の例として以下が挙げられます。「1. いつも飲まないように口うるさくして、本人の否認を増強させている関係」「2. 世話焼きをし過ぎることで、本人がアルコール問題に直面しないようにしている関係」「3. 夫のアルコールによる失敗の後始末をして、世間にはアルコール問題がないかのようにふるまっている関係」「4. 性格の問題とみなして、 アルコール問題を否認している妻」「5. 夫のしらふの時にはお互いに緊張してよそよそしく、飲むと互いに感情が爆発する関係」「6. 夫のしらふの時には妻が支配的で、飲むと暴力で夫が支配する関係」「7. 夫から離れられず、いつも犠牲者としての悲劇のヒロインを演じ続けている妻たち」などです。
もちろん依存症者がどの立場であるかによって、「夫や親」「親戚」「友人」「上司」などに共依存が生じ得ます。