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飲酒のガイドライン

厚生労働省の示す指標では、節度ある適度な飲酒は1日平均純アルコールで20グラム程度の飲酒ということになります。また女性や高齢者、飲酒後にフラッシング反応を起こす人は、これより飲酒量を少なくすべきであると推奨しています。これらのガイドラインと既存のエビデンスから、健康を守るための12の飲酒ルールを提案します。

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1. 節度ある適度な飲酒

厚生労働省は「健康日本21」の中で「節度ある適度な飲酒」を以下のように定義しています。このガイドラインは数値を明確に示した点では画期的といえるものす。

「通常のアルコール代謝能を有する日本人においては、節度ある適度な飲酒として、1日平均純アルコールで20g程度である。」

飲酒量の単位」の項でも説明していますが、20gとは大体「ビール中ビン1本」「日本酒1合」「チュウハイ(7%)350mL缶1本」「ウィスキーダブル1杯」などに相当します。この数値は日本人や欧米人を対象にした大規模な疫学研究から、アルコール消費量と総死亡率の関係を検討し、それを根拠に割り出されたものです。その具体的な内容については「飲酒とJカーブ」を参照してください。

2. 節度ある適度な飲酒の付帯事項

このガイドラインには、1日の飲酒量だけでなく以下の5点がその付帯事項として述べられています。

まず「アルコールの吸収と分解」の項で、一般に女性は男性に比べてアルコール分解速度が遅いことを説明しています。体重あたり同じ量だけ飲酒したとしても、女性は男性に比べて臓器障害を起こしやすいことも知られています。これらの理由から女性の飲酒量は男性に比べて少なくすることが推奨されています。諸外国のガイドラインなども参照してみると、男性の1/2~2/3程度が適当と考えられます。

同じ項でフラッシング反応を起こす者はそうでない者に比べて有毒なアセトアルデヒドの血中濃度が高くなり、アルコールの分解が遅れることが説明されています。がんのリスク等も踏まえて、飲酒後にフラッシング反応を起こす者は飲酒量を控えることが推奨されています。

高齢者ではアルコールの分解速度が下がることや、血中濃度が高くないにもかかわらず酔い方がひどくなることなどが示唆されています。65歳以上の高齢者の飲酒量は少なくされるべきでしょう。

残りの2点は、アルコール依存症には断酒が必要なこと、非飲酒者に飲酒を勧めるべきではないことです。前者は「アルコール依存症への対応」に詳しく記載しています。後者については「飲酒とJカーブ」を参照してください。

3. 諸外国のガイドライン

下記表に飲酒量に関する諸外国のガイドラインを示しました。注意しなければならないのは、表の数値は1日の許容量ということです。わが国の節度ある適度な飲酒が示す数値は許容量ではありませんが、仮に許容量とみると男性ではカナダ以外の国では日本より数値が高くなっています。体格やアルコール分解酵素の違いを考慮すれば、日本が低値なのは理にかなっているといえます。

諸外国におけるガイドライン
基準飲酒量(g) 1日許容量(g)
男性 女性
オーストラリア 10 40 20
オーストリア 10 30 20
カナダ 13.5 13.5 13.5
デンマーク 12 36 27
ニュージーランド 10 30 20
英国 8 24-32 16-24
米国 14 28 14

4. 12の飲酒ルール

厚生労働省のガイドラインや既存のエビデンスを踏まえて、下記に「健康を守るための12の飲酒ルール」を提案します。これをもとにご自分や家族の飲酒習慣をもう一度振り返ってみてください。

  1. 飲酒は1日平均2ドリンク以下
    節度ある適度な飲酒を守りましょう。
  2. 女性・高齢者は少なめに
    中年男性に比べて、女性や高齢者は飲酒量を控えることをおすすめします。例えば1日350mlの缶ビール一本以下を目安としてみましょう。
  3. 赤型体質も少なめに
    飲酒後にフラッシング反応を起こす人をここでは赤型体質とも呼びます。この体質はアルコールの分解が遅く、がんや様々な臓器障害を起こしやすいといわれています。
  4. たまに飲んでも大酒しない
    たとえ飲む回数が少なくとも一時に大量に飲むと、身体を痛めたり事故の危険を増したり依存を進行させたりします。
  5. 食事と一緒にゆっくりと
    空腹時に飲んだり一気に飲んだりすると、アルコールの血中濃度が急速に上がり、悪酔いしたり場合によっては急性アルコール中毒を引き起こします。またあなたの身体を守るためにも濃い酒は薄めて飲むようにしましょう。
  6. 寝酒は極力控えよう
    寝酒(眠りを助けるための飲酒)は、睡眠を浅くします。健康な深い睡眠を得るためには、アルコールの力を借りないほうがよいでしょう。
  7. 週に2日は休肝日
    週に2日は肝臓をアルコールから開放してやりましょう。そうすることで依存も予防できます。
  8. 薬の治療中はノーアルコール
    アルコールは薬の効果を強めたり弱めたりします。また精神安定剤と一緒に飲むと、互いの依存をはやめることが知られています。
  9. 入浴・運動・仕事前はノーアルコール
    飲酒後に入浴や運動をすると、不整脈や血圧の変動を起こすことがあり危険です。またアルコールは運動機能や判断力を低下させます。
  10. 妊娠・授乳中はノーアルコール
    妊娠中の飲酒は胎児の発達を阻害し、胎児性アルコール症候群を引き起こすことがあります。またアルコールは授乳中の母乳に入り、乳児の発達を阻害します。
  11. 依存症者は生涯断酒
    依存症は飲酒のコントロールができないことがその特徴で、断酒を続けることが唯一の回復方法です。
  12. 定期的に検診を
    定期的に肝機能検査などを受けて、飲み過ぎていないかチェックしましょう。また赤型体質の習慣飲酒者は、食道や大腸のがん検診を受けましょう。

参考文献

  1. 樋口 進ほか (編).
    健康日本21推進のためのアルコール保健指導マニュアル.
    社会保険研究所, 東京, 2003.