脂質異常症(高脂血症)の治療は、生活習慣の改善が根幹であり、安易な薬物療法は慎み、薬物療法中も生活習慣の改善を行うべきとされています。運動療法として、中強度以上の有酸素運動を中心に定期的に(毎日合計30分以上を目標に)行うことが推奨されています。運動療法により血中脂質の改善効果が得られ、脂質異常症を改善します。
高血圧治療の基本は生活習慣の修正(運動療法・食事療法)と薬物治療があります。運動療法として、運動の頻度は定期的に(できれば毎日)実施し、運動量は30分以上、強度は中等度(ややきつい)の有酸素運動が一般的に勧められています。運動療法により降圧効果が得られ、高血圧症が改善されます。
糖尿病の治療には、運動療法・食事療法・薬物療法の3本柱があります。運動療法により血糖コントロール・インスリン抵抗性・脂質代謝の改善が得られ、糖尿病を改善します。運動療法の目標として、運動の頻度は週に150分かそれ以上、週に3回以上、運動強度は中等度(ややきつい)の全身を使った有酸素運動、運動持続時間は20分以上行うことが一般的に勧められています。また、連続しない日程で週に2~3回のレジスタンス運動の両方を行うことが勧められています。
「健康日本21(第三次)」とは、2024(令和6)年から2035(令和17)年にかけて実施される国民健康づくり運動のことです[1]。「全ての国民が健やかで心豊かに生活できる持続可能な社会の実現」というビジョンのもと、51項目の目標が設定されています。このうちの3項目が身体活動・運動に関する目標です(表1)。
安静にしている状態より多くのエネルギーを消費するすべての動作。
運動強度の単位で、安静時を1とした時と比較して何倍のエネルギーを消費するかで活動の強度を示したもの。
健康づくりための運動について、頻度・強度・持続時間・運動の種類を規定すること。