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「うつ」に気づいたときの対処法は?

「うつ」や「うつ病」に自分自身で気づいたり、家族や職場の同僚など近くにいる方が気づくことはとても大事です。心配な時にはまず、疲れたこころと体を十分に休めます。医学的な治療が必要な場合には、医師による診察の後に必要に応じて適切な治療法を選択し、十分時間をかけて治療することが大事です。

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「うつ」はこころと体のSOS

「うつ」は、こころのガソリンが切れたりオイルが汚れたりして元気がなくなった⾃動⾞のような状態です。そのような状態のまま⾛らせていたら、⾞は壊れてしまいます。「うつ」も同じです。脳が SOS をだしていたら、きちんと休養をとって適切な点検⼯場で調整することが⼤切です。そのため「うつ」に⾃分⾃⾝で気づいたり、家族や職場の同僚など近くにいる⽅が気づくことはとても⼤事です。

いままで漠然と「うつ」と説明してきましたが、もっと狭い範囲で「うつ病」を考えてみます。会社員の A さんは、これまで⼤好きだったゴルフが楽しくなくなりました。主婦のB ⼦さんは元気がなくなり、得意だったお菓⼦づくりをする気にもならなくなりました。気分がふさぎがちになり、これまで楽しめていたことに関⼼が薄れて意欲が低下していくことは、うつ病の特徴的な症状のひとつです。
うつ病の発症には、はっきりした原因があるとはかぎりません。またうつ病では「こころの症状」が⽬⽴たず、「体の症状」ばかりが⽬⽴つ場合も少なくありません。ですから⾃分が「うつ病」だと気づかずに、内科などを受診されることも少なくありません。

「うつ」かな︖ と思ったら

「うつ」でやる気がでないのは、こころが弱かったり⽢えているためではありません。ご⾃⾝やご家族が「うつ」あるいは「うつ病」かなと⼼配な場合にはまず、疲れたこころと体を⼗分に休めるようにします。家族や仕事・学校といった療養環境の調整がとても⼤切です。⼗分な休養をとることと、必要に応じて適切な治療を受けることが症状の緩和につながります。治療が必要な場合には必ず医師による診察を受け、⼗分に時間をかけて療養することが重要です。

薬を飲むことを「⽢えていること」と考えたり、本来だったら薬などに頼らずに「⾃分で治すべきもの」と考えて、治療を受けることに抵抗を感じる⽅もいらっしゃいます。服薬を始めてから⾃覚症状が緩和するまでには数週間かかることがわかっていますので、すぐに効果がでないからといって不安になる必要はありません。また薬の効き⽅や副作⽤のでやすさには個⼈差がありますので、遠慮なく医師と相談してください。ふさわしい対処法を明⽰していただけると思います。

(最終更新日:2020年2月6日)

⻄ ⼤輔

⻄ ⼤輔 にし だいすけ

東京大学大学院医学系研究科 精神保健学分野 教授

2000年九州大学医学部卒業。2010年九州大学大学院医学研究院精神病態医学専修生満了。医師、博士(医学)。精神保健指定医、日本精神神経学会専門医・指導医、日本医師会認定産業医、社会医学系専門医・指導医。2018年より東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野准教授。2021年より国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所公共精神健康医療研究部部長。2022年より現職。