情報提供>高齢者への対応
口腔機能は、食べることやコミュニケーションにかかわる重要な役割を果たします。口腔機能が低下すると、食物の種類が制限されるので、免疫力の低下から病気にかかりやすくなります。また食事や会話に支障をきたすと人との付き合いがおっくうになります。そのため、家に閉じこもりがちになると、身体的にも精神的にも活動が不活発になり、高齢者では寝たきりや認知症の引き金ともなります。
訪問歯科診療とは、要介護高齢者が在宅や施設で歯科診療が受けられるものです。要介護高齢者の多くは歯科的な問題を抱えているにも関わらず、これまでの外来での歯科受診は70~74歳をピークに、その後急速に減少する実態がありました。歯科治療をはじめとする口腔機能の維持管理は、食べるという機能ばかりでなく、生きる力やQOLの向上に寄与することが明らかになってきました。身近なかかりつけの歯科医などに相談し、外来受診が困難な場合であっても、治療をあきらめないことが重要です。
口腔ケアには、大きく分けて口腔の「清掃を中心とするケア」と「機能訓練を中心とするケア」があります。要介護高齢者に対する口腔ケアの主な目的は、「誤嚥性肺炎」、「口腔の乾燥」、「口腔機能の低下」を予防することです。安全と安楽をモットーに専門家のアドバイスを受けながら、継続することがポイントです。
自分の歯や口、体の健康に関心をもち、生活習慣を整えることは健康高齢者への近道です。歯ブラシなどの道具を使った器質的口腔ケアだけではなく、顔や舌の体操、唾液腺のマッサージなど、機能的口腔ケアも実施して歯や口の健康を維持しましょう。また、定期的に歯科医院に行って、健診や指導を受けることをお勧めします。その結果は、健康的で質の高い生活の実現につながるといえます。
2006年4月に介護保険制度が見直され、「介護予防」を重視する制度改正が行われました。介護予防の目的は2つあり、「自立高齢者が要介護状態になることをできる限り防ぐこと」と、「要介護高齢者がそれ以上に状態を悪化させないこと」です。「口腔機能の向上」はその両方に効果があることが認められ、介護予防サービスのひとつとして導入されました。
