厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト

e-ヘルスネット

歯の喪失の実態

高齢になると残っている自分の歯の数は少なくなり、後期高齢者の平均値は約16本で、約3割の人が総入れ歯を使っています。しかし昔に比べると歯の喪失状況は改善傾向にあります。国際的にみると日本人の高齢者は比較的歯が残っているといえるようです。

twitterでシェアする

facebookでシェアする

歯の喪失と年齢

一人あたりの歯の数の平均値(年齢階級にみた一人平均現在歯数)

図1: 一人あたりの歯の数の平均値(年齢階級にみた一人平均現在歯数)[1]

歯の喪失は、年齢が高くなるほど進み、高齢者では歯のない人が多くなります。
【図1】は2016年に行われた全国調査(歯科疾患実態調査)における一人あたりの歯の数(一人平均現在歯数)を年齢階級別に示したものですが、高年齢層ほど値が低く後期高齢者(75歳~)では、本来持っている歯の数(28本)の半数近くが失われています。(後期高齢者で20本以上の歯を持つ人は46%です。)

歯の喪失状況の推移

歯の数の平均値(一人平均現在歯数)の推移

図2: 歯の数の平均値(一人平均現在歯数)の推移[1]

【図2】は歯の数の平均値を年齢階級別に示したもので、1980年代以降、増加傾向にあることがわかります。たとえば60歳前後(55~64歳)に注目すると、1975年では14本でしたが、2016年には24本まで増加しています。

義歯の使用状況は?

義歯を使用している人の割合

図3: 義歯を使用している人の割合[1]

何らかの義歯(ブリッジ・部分入れ歯・総入れ歯)を使っている人の割合は年齢とともに高く、後期高齢者では84%に達します。義歯の種類別に内訳をみますと、歯の喪失が進むにつれて、ブリッジ→部分入れ歯→総入れ歯と、より大きな義歯を使用する状況が窺え、後期高齢者では約3割の人が総入れ歯を使用しています。【図3】

外国との比較

歯の喪失に関して国際的に最も広く使われている指標は、歯のない人の割合(無歯顎者率)で、WHOではこの指標を用いて各国のデータを収集・公表しています【表】。これをみると日本の値は低く、各国に比べて良好といえるようです。

表: 歯のない人(無歯顎者)の割合の国際比較[2]
65-69歳 日本* 7%
米国 26%
65-74歳 日本* 10%
中国 11%
イタリア 13%
カンボジア 13%
リトアニア 14%
オーストリア 15%
インド 19%
マダガスカル 25%
ポーランド 25%
ルーマニア 26%
デンマーク 27%
ハンガリー 27%
レバノン** 35%
スリランカ 37%
スロバキア 44%
65歳- エジプト 7%
スロベニア 16%
タイ 16%
日本* 18%
シンガポール 21%
インドネシア 24%
サウジアラビア 31-46%
フィンランド 41%
英国 46%
ブルガリア 53%
マレーシア 57%
カナダ 58%
アルバニア 69%
アイスランド 72%
ボスニア・ヘルツェゴビナ 78%

*日本の数値は歯科疾患実態調査(2005年)から算出したもの
**65-75歳

(最終更新日:2020年7月28日)

安藤 雄一

安藤 雄一 あんどう ゆういち

国立保健医療科学院 生涯健康研究部 主任研究官

1983年新潟大学歯学部卒業。新潟大学歯学部予防歯科学講座医員、同助手、新潟大学歯学部附属病院講師、国立感染症研究所口腔科学部歯周病室長、国立保健医療科学院口腔保健部口腔保健情報室長、同生涯健康研究部上席主任研究官、同統括研究官を経て、2019年より現職。歯科口腔保健に関わる研究、人材育成、情報発信に努めている。

参考文献

  1. 厚生労働省.
    歯科疾患実態調査.
    https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/62-17.html
  2. Petersen PE, Bourgeois D, Ogawa H, Estupinan-Day S, Ndiaye C.
    The global burden of oral diseases and risks to oral health.
    Bull World Health Organ. 2005;83(9):661-9.
    https://www.who.int/bulletin/volumes/83/9/661.pdf