食物と薬の相互作用(健康食品編)
健康食品と薬との相互作用の事例について、血液凝固を抑制させる食品、コエンザイムQ10、ジュース類、カモミール、クレアチン、オコサコタノールについて解説します。
健康食品の存在意義というのはセルフメディケーションの推進による医療費の削減にあるといっても過言ではないでしょう。しかしながら、わが国における健康食品の利用状況の現実は、健康の維持増進や疾病リスク管理というよりは、たぶんに「お助け食品」的な色彩が強く、疾病の予防ばかりでなく、よもすれば薬事法に触れるような治療の補助といった面が強いような気がします。実際の利用者の多くが薬物治療を受けながら健康食品を利用するといった状況にあるのではないかと思われます。そのような観点から、今後、健康食品と治療薬との相互作用の事例研究を推進しなくてはならないと考えます。ここでは現在までに報告されている具体的な事例を中心に解説します。
血液凝固を抑制させる食品成分を含む健康食品・野菜類
いわゆる「血液さらさら食品」といわれるイチョウ葉エキス、にんにく、たまねぎ、ノコギリヤシ、EPAやDHA、ビタミンEやイチゴ、トマト、きゅうり、みかん、ぶどうなどサリチル酸を多く含む野菜類は、血小板凝集抑制薬、抗血栓薬との相互作用の可能性があることが報告されています(出血傾向の亢進)。
コエンザイムQ10
摂取によって血中コレステロール降下薬(スタチン系薬剤:HMG-CoA還元酵素阻害薬)の副作用である横紋筋融解症を予防する可能性が示されています。これは副作用がCoQ10合成力の低下が原因で起こるのでは考えられているからで、CoQ10による副作用予防や軽減の可能性が示されています。
オレンジジュースとβ-遮断薬
高血圧、狭心症に有効なβ-遮断薬(セリプロロール、アテノロール)は、メカニズムは不明ですが、オレンジジュースとの併用で生物効力が減少し、薬効の減弱が見られることが報告されています。
クランベリージュースとワルファリン
ワルファリン服用中、クランベリージュース飲用で薬効の増強が認められ、消化管出血による死亡例が報告されています。ワルファリンを代謝する代謝酵素(CYP2C9)をクランベリージュース成分が阻害、薬効が増強されたためと考えられています。
カモミール
エストロゲン作用をもち経口避妊薬の効果を減弱することが報告されています。また薬物代謝酵素(CYP1A2、CYP3A4)の抑制により、これらの酵素で代謝される薬物の薬効増強が確認されています。
クレアチン
多量摂取で腎毒性、腎毒性の強い薬物との相互作用により腎障害の悪化の可能性が指摘されています。
オクタコサノール
パーキンソン病患者は摂取禁忌とされています。レボドパ、カルビドパ服用の場合は摂取してはいけません。
参考文献
- 城西大学薬学部医療栄養学科・編著 「保健機能食品・サプリメント 基礎と活用」,p149~155,カザン(2007)
- 城西大学薬学部医療栄養学科・編著 「やさしくわかりやすい食品と薬の相互作用 基礎と活用」,カザン(2007)
- 城西大学薬学部医療栄養学科・訳 「食品-医薬品相互作用ハンドブック」,丸善(2005)
