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食物と薬の相互作用

食物と薬の相互作用(理論編)

食物と薬の相互作用において、薬物動態学的相互作用としては、(1)食事の有無や特定の食事によって薬物の吸収量や吸収パターンが変化してしまう(食物中の脂質とグリセオフルビン)、(2)食品中の特定成分が薬物の代謝に影響を与える(グレープフルーツジュースとカルシウム拮抗薬)、(3)栄養状態の変化によって薬の体内分布が変化する(低栄養状態と血中薬物濃度上昇、肝臓薬物代謝活性低下)場合に分類できます。薬理学的相互作用では、薬物と食品成分の拮抗作用によってもたらされる相互作用が多く見られます(ビタミンKとワルファリン、アルコールと薬物)。

薬物動態学的相互作用

 薬物動態学的相互作用を大別すると、(1)食事の有無や特定の食事によって薬物の吸収量や吸収パターンが変化してしまう、(2)食品中の特定成分が薬物の代謝に影響を与える、(3)栄養状態の変化によって薬の体内分布が変化する場合に分類できます。
例としては、(1)皮膚真菌症治療薬であるグリセオフルビンの場合、脂質の多い食事や食品(牛乳やバターなど)摂取後の服用で生物効力(AUC:薬物血中濃度下面積)が2倍以上に上昇することや、(2)グレープフルーツジュースの同時摂取により、血圧降下薬であるジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬の血中濃度が上昇して、薬の効きすぎ状態になり低血圧症状を呈してしまう事例がそれに該当します。この場合は、小腸粘膜上の薬物代謝酵素(CYP3A4)の活性をグレープフルーツジュースに含まれる苦味成分であるフラノクマリン誘導体(ベルガモチン、ジヒドロベルガモチン)が不可逆的かつ強力に阻害してしまうことによるものであることがわかっています。(3)の事例では、病中の栄養不良や高齢者などで起こりやすい低栄養状態では、血中たんぱく質濃度が低下することによる遊離薬物濃度の上昇と、肝薬物解毒代謝活性の低下により、薬の効きすぎ状態を招きやすいということなどが挙げられます。

薬理学的相互作用

 薬理学的相互作用では、薬物と食品成分の拮抗作用によってもたらされる相互作用が多く見られます。
例としては、ビタミンKあるいはビタミンKを多く含む食品(納豆やブロッコリー、モロヘイヤなどの緑色野菜、クロレラなどの健康食品など)の摂取による抗血栓薬ワルファリンの効果の減弱例が有名です。ワルファリンの抗血栓効果は、一連の血液凝固反応において、ビタミンKの働きを阻害することによってもたらされており、食物からビタミンKが供給されることによって拮抗的に効力が減弱することに起因する現象です。その他、甘草(グリチルリチン酸)による降圧薬作用の減弱やチアジド系・ループ系利尿薬の副作用増強、アルコール摂取による睡眠薬や向神経薬の作用増強やN-メチルテトラゾールチオール基を持つセファロスポリン系抗生物質やトルブタミドなどの経口糖尿病薬によるジスルフィラム様作用(アセトアルデヒド代謝阻害による悪心、二日酔い様症状)なども薬理学的相互作用の具体例です。

和田政裕

参考文献

  1. 城西大学薬学部医療栄養学科・編著 「やさしくわかりやすい食品と薬の相互作用 基礎と活用」、p12~62、127~138、カザン(2007)
  2. 城西大学薬学部医療栄養学科・編著 「生活習慣病治療薬 基礎と活用」、p142~147、カザン(2008)
  3. 城西大学薬学部医療栄養学科・訳 「食品-医薬品相互作用ハンドブック」、丸善(2005)