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栄養・食事・血圧から見た許容飲酒量

健康を維持増進するために必要な栄養素を食事から確保したり、生活習慣病を予防するためには、1日当たり日本酒1合程度までの飲酒量に留め、加えて週1回以上の休肝日を設けることが望まれます。

 わが国では昔から「酒は百薬の長」「命の水」などと評され、「酒」そのものや「飲酒」行為は人々の日常生活でさまざまな行事と深い関わりをもっています。ところで、適度な飲酒は疲労の回復やストレスの解消あるいは人間関係を円滑にするなど、私たちにとって望ましい影響を与えてくれるものです。一方、飲酒量が過度になると、急性や慢性の疾病(アルコール中毒やアルコール性肝炎など)が発症しやすくなるなることも広く知られています。どの様にして「酒」と付き合って行くことが望まれるのでしょうか。

 飲酒と食事の関係を詳細に検討した成績によると、1日当たりの飲酒量が日本酒1合程度(ビール大瓶1本に含まれるアルコール量は概ね同量)までの場合は、飲酒しない場合と同程度に望ましい食事内容を確保することができます。しかし、飲酒量が日本酒2合を超える当たりからは、飲酒以外から口にする通常の食事量が減少し始め、健康を維持するために必要な栄養素は確保できにくくなってきます。このことから、栄養・食事面から見た望ましい許容飲酒量は1日に日本酒1合(ビール大瓶1本程度)と考えておくと良いでしょう。また、飲酒時にも必ず、主菜(肉、魚、卵、大豆製品の料理)、副菜(野菜料理)、主食(ご飯、パン、めん類)を適量食べるようにし、「から酒」や極端な「減食」は避けるようにしてください。

 また、多量飲酒は重篤な循環器疾患である心臓病や脳卒中の最も重要な危険因子の一つである高血圧の原因にもなります。この関係を調べた成績によりますと、習慣的な飲酒量が1週間当たりで日本酒9合弱(1日当たり日本酒1.3合弱)である集団は、非飲酒者の集団に比べ、既に血圧は高い水準を示していました。さらに飲酒量が多い集団となるのにしたがい、その差は大きくなっていることが確認されています。これらのことからも、飲酒習慣を有する方の望ましい許容飲酒量は1日当たり日本酒1合程度と考えられ、週1日以上の休肝日は設けるようにすることがおすすめです。ただし、既に何らかの理由で医療機関に受診している方は必ず担当の医師の指示にしたがってください。
若年期からの適正な飲酒習慣の普及啓発とその実践が必要であると考えられます。

(注意)飲酒習慣のない方に飲酒を推奨しているわけではありません。くれぐれも誤解のないようにお願い致します。

由田克士

参考文献

  1. 糸川義則,栗山欣弥,安本教傳 編:アルコールと栄養,光生館,1992
  2. 由田克士:飲酒に伴う栄養素摂取状況と食品群別摂取状況の変動ならびに循環器健診成績の関連について.日循協誌:33:186-198,1998
  3. Yoshita K, Miura K, Morikawa Y, Ishizaki M, Kido T, Naruse Y, Soyama Y, Suwazono Y, Nogawa K, Nakagawa H:Relationship of alcohol consumption to 7-year blood pressure change in Japanese men. J Hypertens.: 23:1485-1490, 2005