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アルコール依存症への対応

アルコール依存症から回復するための唯一の方法は、断酒=一滴も飲まないことです。飲酒問題を認めない「否認」を克服することが回復への第一歩です。自分で飲酒問題に気付くため、家族があまり手助けしすぎない方が良いこともあります。専門医療期間への受診や自助グループへの参加が回復を助けます。

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アルコール依存症になってしまったら、回復するための方法は一つしかありません。それは「断酒」することです。

断酒とは、ずっと酒を一滴も飲まないことです。「飲みすぎたのがいけないのだから酒の量を減らせばいいのではないか」「たまに飲むくらいならいいのでは」と考える方が多いのですが、それでは依存症は回復しません。そもそもアルコール依存症とは、飲酒がコントロールできない病気です。コントロールできないのに、量や回数を減らそうとするのは無理な話です。最初は量が減っているつもりでも、しばらく経つうちにまたもとの飲み方に戻ってしまう結果になるのです。

さらに断酒を難しくしているのは、断酒には期限がないということです。例えば、1ヶ月酒を止めればいいと決まっていれば、その期間酒を止めるのは簡単かもしれません。しかしたとえ数年間酒を全く飲まなかったとしても、また飲み始めるとたちまちもとの飲み方に戻ってしまうのが依存症の怖いところです。つまり長年かけて作り出された依存症の脳の回路が、しばらく酒を止めたことで消えてなくなるわけではないのです。

飲んでいる間は、断酒することはとても無理なことのように思えます。そして多くの依存症者は断酒を試みることをしません。そのひとつの原因は、「否認」という心の働きにあります。否認とは、文字通り飲酒の問題があることを認めないことです。
「飲酒の問題がない」と全く認めないことだけでなく、「問題はあるけど軽い方だ」「いざとなればいつでも止められる」と、問題を実際よりも軽く考えることも否認といえます。また「酒の問題はあるが仕事上飲酒しないといけない」「ストレスがあるので酒が必要だ」などと、飲酒する理由があるから飲酒するのだと考えるのもその一種です。これは理由があるから飲むわけではなく、実は飲酒欲求があるために、理由を後でつけてしまっているのです。いわば「酒に飲まされている」状態です。
誰にとってもうまくいっていないことを認めるのは心理的な危機であり、それを認めないことで心の平穏を保とうとするのはストレスに対する正常な防衛機制です。しかし自分の飲酒の問題を認めないことには、決してアルコール依存症が自然に解決することはありません。そして自分の問題を認めることができれば、断酒も十分可能となるのです。

飲酒によって起きた問題を、家族が尻拭いしてしまって解決してしまうと、かえって本人が問題を認めることを遠ざけてしまう結果になります。回復のためには、世話を焼きすぎないで見守ることも時には必要です。

そして依存症から回復するためには、アルコール依存症の専門的な治療を行っている医療機関への受診や、AAや断酒会といった自助グループに参加することが重要です。自分の意思だけに頼って止めようとするのは、なかなかうまくはいきません。まず専門医療機関を受診し、きちんとした診断・治療を受け、断酒のための正しい方法を専門家と相談することが、断酒の成功への近道になります。そして独りの力では難しくても、自助グループに参加して仲間と一緒に断酒していくということは、断酒を続けるための大きな力になるはずです。

参考文献

  1. 白倉克之, 樋口 進, 和田 清 (編).
    アルコール・薬物関連障害の診断・治療ガイドライン, じほう, 東京, 2003.